薬機法(旧薬事法)

【2023年最新】薬機法における化粧品成分の広告規制やパッケージ表示を徹底解説!

皆さんは、薬機法の化粧品の広告やパッケージの成分表示規制をご存知ですか?InstagramでPRしただけであっても、懲役刑などの罰則が適用される可能性があります。薬機法を遵守するためにも、化粧品の概要をはじめ、一般化粧品と薬用化粧品の違い、効果・効能の表現の範囲など、化粧品の広告規制について解説させていただきます。

【2023年最新】薬機法における化粧品成分の広告規制やパッケージ表示を徹底解説!

arrow_drop_down 目次

全部見るarrow_drop_down

はじめに

皆さんは、薬機法において、化粧品の広告やパッケージの成分表示に規制があることをご存知ですか?

特に、薬機法の違反行為に該当する「広告規制」に関しては、違反しようという意図がない場合でも、言葉の選び方次第で、誰もが違反の対象となる可能性があるのです。

「化粧品をInstagramでPRしただけ」「フリーランスライターとして化粧品の記事発注されただけ」といった状況にあっても、薬機法の違反行為の一つである広告規制に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用されてしまいます。

従って、化粧品の製造者や販売者だけでなく、その化粧品を取り扱う、代理店・制作会社・ライター・インフルエンサーまで薬機法を正しく理解し、薬機法を遵守することが大切です。

本記事では、薬機法における化粧品の概要注意事項一般化粧品と薬用化粧品の違い化粧品の効果・効能の表現の範囲など、皆さまの疑問を解決するため、化粧品を取り巻く広告規制について解説させていただきます。

XP法律事務所では、化粧品分野をはじめとする薬機法に関するリーガルチェックや法律に則った訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。

化粧品広告に関する助言審査薬機法についてご不明点がある場合など、お気軽にXP法律事務所までご相談ください。

そもそも薬機法とは

「薬機法(やっきほう)」とは、正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のことで、現在の法令名を略した名称を指します。

《製品の安全性と品質を確保し、保健衛生の向上を図ること》を目的とした、医薬品等の製造や販売をはじめ、流通や表示、広告に関する規律を行う法律です。

以前は、「薬事法(やくじほう)と呼ばれていましたが、2014年11月25日に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」により、現在の名称に変更されました。

これに違反した場合には、次の処遇を受ける可能性があります。

  1. 行政処分
  2. 課徴金納付命令
  3. 刑事罰

従って、薬機法について正しい知識を学び、一人ひとりが法律を遵守するよう努めることが重要です。

薬機法の規制対象は、次の5分野となり、これらの製品を総称し「医薬品等」と呼びます。

医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品

薬機法違反にあたる行為の例

冒頭、薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用される可能性があるとご紹介しました。

薬機法違反として見なされる行為は、次の3つの項目です。

  1. 無許可営業・無登録営業
  2. 医薬品等の取り扱いに関する違反
  3. 広告規制違反

各違反行為の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

広告に携わる方が特に注意したい、薬機法における「広告規制」とは

薬機法は医薬品等の製造・販売だけでなく、広告についても、次の規制が定められています。

薬機法違反として見なされる行為は、次の3つの項目です。

  • 虚偽・誇大広告等(第66条):医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能に関して、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布の禁止
  • 特定疾病用の医薬品及び再生医療製品等製品の広告の制限(第67条):がん・肉腫・白血病などに使用されることが目的とされている医薬品・再生医療等製品のうち、医薬関係者以外の一般人を対象とした広告の禁止
  • 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁(第68条):医薬品等に該当しない製品を医薬品等と誤認させるような効能効果の表示・広告の禁止

上記の項目は、広告を行うだけでなく、化粧品自体のパッケージ表示をするにあたっても、重要なポイントとなることにご留意ください。

薬機法における「広告」

薬機法において、「広告」を次のように定義しています。

消費者を誘引する意図が明確・特定医薬品等の商品名が明らかされている・一般人でも認知できるもの

広告と見なされる代表的なカテゴリーは、次の表をご覧ください。

広告のカテゴリー
テレビ新聞雑誌ラジオ
Webサイトアフェリエイト広告SNS広告チラシ・ポスター・パンフレット
ダイレクトメール
(DM)
ブログ電子メール

上記の表の通り、薬機法の対象者は、広告主法人・個人か、フリーランスであるか否かを問わず、広告に関係する、すべての人が対象です。

つまり、広告主・広告代理店をはじめ、広告を掲載した媒体、メディア運営事業者、レビューサイト運営事業者、ライター、アフィリエイター、インフルエンサーなど、広告作成に携わった全ての人が(薬機法の)“対象者の1人”と見なされるのです。

そのため、広告物作成時に社内マニュアルを作成したり、フリーランスやインフルエンサーなどの業務委託先まで管理体制を見直し、薬機法を遵守するよう徹底しましょう。

繰り返しとなりますが、薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用されることになります。

違反行為により、企業の大きな経済的損失となってしまう上に、消費者からの社会的信用を失う可能性もあるのです。

薬機法に違反する前に、法律の専門家である弁護士に相談したり、具体的なアドバイスを仰ぐことで、法律遵守に努めましょう。

薬機法における「化粧品」とその定義とは

薬機法において、「化粧品」とは、次のように定義されています。

人体に対する作用が緩和で、人の身体を清潔にする他、皮膚や毛髪を健やかに保つ役割を果たしたり、容貌を変えたり、外見を美しく見せることを目的としたもの

併せて、使用の際には、身体に塗擦や散布、その他これらに類似する方法を用いると表記されています。

また、「医薬品としての使用目的を併せ持つもの」「医薬部外品を除外したもの」に限り、薬局やドラッグストア以外に、一般小売店でも購入可能な製品です。

化粧品の定義

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

化粧品の具体例は、次の一覧の通りです。

分類内容
化粧品例:「シャンプー」「リンス」「コンディショナー」
「石鹸」「化粧水や保湿クリームをはじめとするスキンケア用品」
「ファンデーションや口紅などのメイクアップ用品」「マニキュア」「香水」など

化粧品の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

薬用化粧品は医薬部外品に該当する⁉︎

化粧品と呼ばれるものの中に、薬機法上で「医薬部外品」と呼ばれる製品が存在することをご存知ですか?

前提として、「医薬部外品」とは、次のように定義されるものを指します。

吐き気をはじめとする不快感や口臭・体臭・あせも・ただれ等を防止するもの、脱毛の防止・育毛または除毛などの美容を目的としたもの

医薬部外品に該当するのは、「薬用化粧品」という製品です。

具体的には、一般的な化粧品としての機能に加え、厚生労働省が認めた効果・効能に、「有効成分」が配合された製品を指します。

医薬部外品であれば、有効成分ごとに認められた、「肌あれ」「ニキビ予防」「美白」「デオドラント」などの表記も可能となるのです。

「薬用化粧品(医薬武学品)」と「化粧品」の違いについては、次の表をご覧ください。

薬用化粧品(医薬部外品)化粧品
使用目的吐き気をはじめとする不快感や口臭体臭あせもただれ等を防止するもの、脱毛の防止・育毛または除毛などの美容を目的としたもの人体に対する作用が緩和で、人の身体を清潔にする他、皮膚や毛髪を健やかに保つ役割を果たしたり、容貌を変えたり、外見を美しく見せることを目的としたもの
有効成分の有無有効成分配合なし
広告表現表示可能な広告表現が異なる効果:有効成分ごとに認められた薬効(薬用化粧品はさらに56の効能)
有効成分は承認された量が配合され、緩和な効能
成分表示◼️ 全成分表示:各社自主判断
◼️ 有効成分示(法規制で義務)
◼️ 配合量が1%以下の有効成分は、順不同
◼️ 全成分表示:法律上の義務
★薬事申請◼️「販売名」「処方」「効能・効果」「用法用量」など製品毎の承認◼️「販売名」の届出

薬用化粧品(医薬部外品)と一般化粧品の薬事申請について

上記の表で、「薬用化粧品(医薬部外品)」と「化粧品」の違いの一つに「薬事申請」について表記させていただきました。

化粧品を販売する場合、「販売名」の届出のみを行う一方で、薬用化粧品(医薬部外品)は、「販売名」「処方」「効果・効能」「用法用量」など、各商品ごとに、厚生労働省から承認を受ける必要があります。

化粧品販売の際は、製造販売元により、品質や安全性が保証されていることに加え、後ほどご紹介する「全成分表示義務」という法律上の義務も課せられています。

文字通り、化粧品の配合成分を全表示しているため、消費者自身で成分を選択し、商品購入できるといったメリットもあります。

広告物やパッケージ表示の制作を行うにあたって、混同されやすい一般化粧品と薬用化粧品の違いを正しく理解しましょう。

前提知識として覚えておきたい化粧品の「全成分表示義務」について

こちらの章では、先に触れた内容である「全成分表示義務」についてご紹介します。

前提として、薬機法では、化粧品の「全成分表示義務」が課せられています。

文字通り、日本で化粧品を製造・流通する際には、化粧品に含まれる「全成分の名称」を表示することが義務付けられているのです。

厚生労働省医薬局では、「化粧品の全成分表示の表示方法等について」という、化粧品の全成分表示義務における6つの規定を公表しています。

具体的な内容は、次の表をご覧ください。

項目具体的な内容
1. 「化粧品の成分表示名称リスト」を利用し、消費者の混乱を防ぐ化粧品の製造業者によって設立された「日本化粧品工業連合会(JCIC)」による、「化粧品の成分表示名称リスト」を活用し、消費者の安全を確保するため努める必要がある。
2.  化粧品の配合成分は分量の多い順に記載する化粧品の成分を表示する際には、使用分量の多いものから順に記載する。
ただし、使用割合が1%以下の成分や着色料に関しては、順不同で記載可能。
3. キャリーオーバー成分は「全成分表示義務」の例外「キャリーオーバー成分」とは、本来の成分に混ざり込んだ微細な成分(効果を発揮するほどの分量が含まれていない成分)のこと。
ただし、「全成分表示義務」の例外となっており、名称を記載する必要はありません。
4. プレミックスは混合成分ごとに記載する「プレミックス」とは、複数の成分からなる混合原料のこと。
該当の化粧品に使用している場合、混合されている成分ごとに記載する必要がある。
5. 抽出物と溶媒を分けて記載する溶媒を使って抽出または希釈している「抽出物」を原料に使用する場合、「抽出された物質」「溶媒」を記載することを徹底する。
6. 香料の成分は「香料」の記載可能香り付けの効果だけを目的とした「香料」を使用する場合、「香料」とのみ記載可能。
 「化粧品の全成分表示の表示方法等について」より

InstagramなどのSNS広告や雑誌媒体をはじめとする化粧品の広告だけでなく、化粧品自体のパッケージ表示を行う際にも、しっかりとルールを遵守しましょう。

化粧品の効果・効能の表現の範囲 

化粧品広告を行う際に注意したいのは、効果・効能の表現の規制についてです。

薬機法に基づいた次の通知において、厚生労働省が定めている範囲を超えて表示することはできません。

厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能効果の範囲の改正について(平成23年7月21 日薬食発第0721 第1号 )」

効果・効能は全部で56種類と定められています。

事業者が効果・効能を自由に表現するなど、表現を超えた広告は罰則の対象となるため、ご注意ください。

ただし、次にご紹介する表現を完全にそのまま使用する必要はなく、承認の範囲内であれば、効果・効能の表現を言い換えることも可能です。 詳細については、訴求表現を具体的にアドバイスできる弁護士に相談することをおすすめします。

薬機法を正しく理解し、一人ひとりが広告規制を遵守するためにも、次にご紹介する表現をチェックしましょう。

また、専門的な知識を要する薬機法の訴求表現を行う際には、弁護士などにリーガルチェックを依頼するなど、法律のプロによるサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

1. 頭皮・毛髪について

はじめに、ご紹介するのは、「頭皮・毛髪」についての表現です。

文字通り、人の頭皮や毛髪にまつわる化粧品を使用する際に用いることが可能な表現となります。

こちらの表現に該当するのは、シャンプーやリンス、コンディショナーなどの化粧品です。

化粧品成分の表示範囲【頭皮・毛髪について】
頭皮、毛髪を清浄にする。 
香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 
頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 
毛髪にはり、こしを与える。 
頭皮、毛髪にうるおいを与える。
頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
毛髪をしなやかにする。 
クシどおりをよくする。
毛髪のつやを保つ。 
毛髪につやを与える。 
フケ、カユミがとれる。 
フケ、カユミを抑える。
毛髪の水分、油分を補い保つ。
裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 
髪型を整え、保持する。
毛髪の帯電を防止する。

2. 皮膚について

続いてご紹介するのは、「皮膚」にまつわる表現です。

人の皮膚に用いる化粧品を使用する際に使用する表現となります。

こちらの表現に該当するのは、化粧水や乳液、ハンド・ボディクリーム、パック、日焼け止め、髭剃り用剤、洗顔料を含む薬用石鹸などです。

化粧品成分の表示範囲【皮膚について】
(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
肌を整える。 
肌のキメを整える。 
皮膚をすこやかに保つ。
肌荒れを防ぐ。 
肌をひきしめる。 
皮膚にうるおいを与える。
皮膚の水分、油分を補い保つ。 
皮膚の柔軟性を保つ。 
皮膚を保護する。 
皮膚の乾燥を防ぐ。 
肌を柔らげる。
肌にはりを与える。
肌にツヤを与える。 
肌を滑らかにする。 
ひげを剃りやすくする。 
ひがそり後の肌を整える。 
あせもを防ぐ(打粉)。 
日やけを防ぐ。 
日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
乾燥による小ジワを目立たなくする。★

上記の表の下段に記載した「乾燥による小ジワを目立たなくする。」の標ぼうは、「化粧品の効能の範囲の改定について(平成23年7月21日 薬食発 0721 第1号『厚生労働省医薬食品局長通知』)により追加された効能です。

こちらの表示・広告を行う際には、「化粧品等の適正広告ガイドライン」に基づき、適正な広告を行うことに加え、次の点に留意しましょう。

  • 「乾燥による小ジワを目立たなくする。」とは、乾燥によって引き起こされる小じわに対しての効果を示していること。加齢によるシワをはじめ、これら全般に効果があるものと誤認される表現に注意する。
  • 具体的な効果とは、スキンケア製品による保湿効果により、肌が潤いを保ち、小じわが目立たなくなるという作用機序を想定する。
  • この効果を表現を用いる際には、必ず「乾燥による小じわ」と表記すること。
  • 表皮の深い層や真皮にまで作用することを意図していません。

3. 香りについて

こちらの節でご紹介するのは、「香り」に関連する表現です。

人の皮膚に用いる化粧品を使用する際に用いられる表現となります。

こちらの表現に該当する製品は、主に香水(フレグランス)などです。

ただし、自己の魅力を高めることを目的に、人の身体の一部に塗布または散布されることを前提としており、ルームフレグランスなどの雑貨製品は対象外となります。

化粧品成分の表示範囲【香りについて】
芳香を与える。 

成分・香料を表現する際の注意事項

指定成分・香料の未含有表現について、次のような項目について留意しましょう。

指定成分・香料の未含有表現について 化粧品及び薬用化粧品において、「肌のトラブルの原因になりがちな指 定成分・香料を含有していない」等の表現は不正確であり、また、それらの成分を含有する製品の誹謗につながるおそれもあるので、「指定成分、 香料を含有していない」旨の広告にとどめ、「100%無添加」、「100%ピュア」等のごとく必要以上に強調しないこと。

4. 爪について

続いて、ご紹介するのは、「香り」にまつわる表現です。

次の項目は、人の爪に用いる化粧品を使用する際に用いる表現となります。

主に、マニキュアやネイルオイル、ネイルクリームなどが対象です。

化粧品成分の表示範囲【爪について】
爪を保護する。 
爪をすこやかに保つ。 
爪にうるおいを与える。 

5. 唇について

こちらの節では、「唇」に関連する表現についてご紹介します。

次の項目は、文字通り、人の唇に使用する化粧品を使用する際に、用いられる表現です。

口紅やリップクリームなどがこちらの項目の対象製品となります。

化粧品成分の表示範囲【唇について】
口唇の荒れを防ぐ。
口唇のキメを整える。 
口唇にうるおいを与える。 
口唇をすこやかにする。  
口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
口唇を滑らかにする。

6. オーラルケアについて

続いて、ご紹介するのは、「オーラルケア」に関連する表現についてです。

次の表現は、オーラルケアをする際に、用いられます。

主に、歯磨き粉やマウスウォッシュなどの製品が対象です。

ちなみに、これらの商品を歯磨き類と総称しています。

化粧品成分の表示範囲【皮膚について】
ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 
歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 
歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 
口中を浄化する(歯みがき類)。 
口臭を防ぐ(歯みがき類)。 
歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 
歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。

化粧品に定められた効果・効能以外を表記する際の注意事項

こちらの章では、化粧品に定められた効果・効能以外を表記する際の注意事項についてご紹介します。

前章でご紹介した、化粧品における効果・効能の表現に加え、広告を行う際には留意しましょう。

1. メーキャップ効果やその他使用感について

事実に基づいている場合、化粧品のメーキャップ効果や化粧品の使用感を表示して広告することが可能です。 

具体的には、前者が「化粧くずれを防ぐ」「小じわを目立たなく見せる」「みずみずしい肌に見せる」などの表現、後者が「清涼感を与える」「爽快にする」などの表現となります。

ただし、化粧品は実際の効果・効能に加え、広告表現に関して、認可されているのは「角質層」までへの浸透に限ることにご留意ください。

また、こちらの表記は、基礎化粧品に関しても同様に適用されます。

2. 効果・効能のしばりの表現について

前提として、「しばりの表現」とは、対象商品の効果・効能を標ぼうする際に、付記しなければならないと義務付けられた文言のことです。

承認された効果・効能にしばりの表現が付されている製品の広告を行う際は、紙面が狭い場合でも、しばり表現を省略せずに、正確に記載する必要があります。

ただし、テレビやラジオにおける効果・効能のしばり表現は、「漢方製剤」に限り、省略可能です。

その際は、次のような注意喚起の旨を記載しなければなりません。

「〇〇は、体質や 症状に合わせてお飲みください。」

3. 薬理作用に基づく効果・効能の表現について

化粧品とは、本来、「人体に対する作用が緩和で、人の身体を清潔にする他、皮膚や毛髪を健やかに保つ役割を果たしたり、容貌を変えたり、外見を美しく見せることを目的としたもの」であり、薬理作用による効果・効能が認められたものではありません。

つまり、「医薬品としての使用目的を併せ持つもの」や「医薬部外品を除外したもの」に限られるため、先にご紹介した効能効・果以外の薬理作用による表現はできないことを頭に入れましょう。

違法な化粧品広告の具体例

こちらの章では、薬機法違反に該当する化粧品広告について、代表的な例をご紹介します。

化粧品の広告表現については、厚生労働省が公表する「医薬品等適正広告基準」や日本化粧品工業連合会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」を参考にしましょう。

また、消費者に寄り添い薬機法を遵守しつつ、広告したい製品をより表現豊かに表現できるよう、弁護士などの法律のプロにアドバイスを求めることをおすすめします。

違反広告に該当する表現内容
1.  「肌の疲れ」等の表現化粧品の効果・効能を逸脱したような表現(疲労回復的表現など)の禁止
2. 「アレルギーテスト済み」等の表現記載は下記の条件を満たすことが条件

キャッチフレーズではない
デメリット表示が記載されている 
・デメリット表示は「アレルギーテスト済み」等の近傍に記載されている
 ・デメリット表示は「アレルギーテスト済み」等の文字と同等程度の大きさかつ目立つように記載されている
3. 「肌・毛髪への浸透」等の作用部位の表現 化粧品の効果・効能が確実であるかのような表現の禁止
4. 「〇〇専用、〇〇用」等の表現次の事例以外の使用は原則禁止

・承認を受けた名称である場合
・化粧品の種類または使用目的により配合の制限がある場合
5.  「強力」、「強い」の表現効能効果の表現で「強力」「強い」の表現は、原則禁止
6. しわ予防・解消等の表現化粧品等の効果・効能の範囲を逸脱するため禁止
7. 「乾燥による小ジワを目立たなくする。」の表現加齢によるシワなどを含め、全てのシワに効果があるものと誤認される表現の禁止
8. 「治癒、回復、改善」等の表現類似表現である、「快方」「治る」「治療」「発毛」「再生」などの言葉の使用は禁止
9. 「細胞」等の表現細胞レベルなど(角質層を除く表皮・基底層・真皮・皮下組織・遺伝子を含む)の表現においては、化粧品等の定義や効果・効能の範囲を逸脱するため禁止
10. 「痩身」、「顔痩せ効果」等の表現医薬品に対して使う言葉であり、化粧品等の定義の範囲を逸脱するため、禁止
11.  「デトックス」等の表現医薬品に対して使う言葉であり、化粧品等の定義の範囲を逸脱するため、禁止
12.  「ピーリング」等の表現「ケミカルピーリング」は医療行為のため、化粧品等での記載禁止
13.  「くすみ」等の表現メーキャップ効果以外の「くすみ」に関する表現は、化粧品の効能効果の範囲を逸脱する誤認を与えるため禁止
14. 医師等のスタイルでの広告について白衣などを着用した医師等のスタイルの人が、化粧品等の広告中に登場する場合、医薬関係者との誤認を与えないよう注意する
15. 「美白」等の表現「美白」「ホワイトニング」などは、医薬品医療機器等法による効能効果ではないため記載禁止
16. 化粧品における「薬用」の表現販売名または販売名の略称・愛称、配合成分の名称、用法用量、効果・効能などに、「薬用」という文字を用いた表現は禁止
17. 毛髪の損傷等の補修表現メーキャップなどの物理的効果は、化粧品の効果・効能の範囲外であっても、化粧品の効能を逸脱したものであると判断されかねないため注意する
18. 「エイジングケア」の表現「エイジングケア」という表現を用いて広告を行なう場合は、事実に基づき、化粧品等の定義を逸脱するような表現を行ってはならない
19. テレビ、新聞、雑誌、WEB広告における説明文必要な説明の文字は、大きさ・フォント・配置・コン トラスト・色・表示時間などに留意し、容易に読めるものであるよう注意する
20. 「使用体験談」の表現の範囲表現の範囲は、使用方法・使用感・香りのイメージなどの範囲かつ事実の範囲内で行う使用者の体験に基づく自発的な感想に限る
21.  メーキャップ効果等に関する記載メーキャップ化粧品等の色彩効果によるメーキャップ効果(覆う・隠す・見えにくくするなど)は、 事実の範囲内で化粧品の定義の範囲を逸脱しない場合においては、表示可能
22. 「調査結果に基づく数値」の表現調査結果に基づき数値で示すことは、効能効果または安全性が確実であるかのような誤解を与える恐れがあるため禁止
23. 「実感」の文字を含む表現キャッチコピー等の強調表示は禁止
24. 化粧品における配合成分の特記表示化粧品における配合成分の次の特記表示に留意する

・特記表示する成分は、配合目的を併記
・配合目的は事実であり、化粧品の効能効果及び製剤技術に基づく表である
・特記表示する成分名称は一般消費者に理解できるように記載
・特記表示ができない成分名称に留意する
・特記表示は配合している成分について表示可能

まとめ

さて、ここまで、薬機法における化粧品の概要注意事項一般化粧品と薬用化粧品の違い化粧品の効果・効能の表現の範囲など、皆さまの疑問を解決するため、化粧品を取り巻く広告規制について解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

化粧品の効果・効能の表現の範囲は56の表現と定められていることに加え、広告を行う際にも、いくつか規制があることをご紹介させていただきました。

特に、薬機法に係る広告規制における対象者は、広告主や法人・個人か、フリーランスであるか否かを問わず、広告にに携わった全ての人が(薬機法の)“対象者の1人”と見なされるのです。

繰り返しとなりますが、薬機法に違反した場合、行政処分・課徴金納付命令・刑事罰の対象になる可能性があるため、一人ひとりが薬機法について理解を深めることが薬機法を遵守することにも繋がります。

また、弁護士をはじめとする法律の専門家にアドバイスを求めることで、不正確な情報の発信トラブルを未然に防げるだけでなく、製品を使用する消費者の安全性を守ることにも貢献できるのです。

XP法律事務所では薬機法に関するリーガルチェック訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。

化粧品などを製造販売している企業様や販売を検討している方をはじめ、化粧品の広告宣伝に携わる方など、化粧品広告規制に関する助言や審査、薬機法についてご不明点がある場合には、XP法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事は、2023年11月22日時点の情報です。

お問い合わせ先

【XP法律事務所】

  • 代表弁護士:今井 健仁(第二東京弁護士会)
  • 所在地:〒104-0061 中央区銀座1-15-4 銀座一丁目ビル13階
  • TEL:03-6274-6709(銀座本店)
  • FAX:03-6274-6710(銀座本店)
  • ホームページ:
  • https://xp-law.com/