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~転ばぬ先の杖~令和の時代のスタートアップ法務

「スタートアップ企業」は、M&AやIPO等といった1つのゴールに向けて、非常に早い速度で事業の拡大が進むことになります。スタートアップ企業が成功するためには、柔軟なアイディアや役員の経営手腕等が必要とされることに加え、創業者・投資家・従業員等をはじめとした、様々な利害関係人が登場することから、法的な仕組みを十分に理解した上で、経営判断を行っていくことが必要不可欠です。本記事をご覧いただき、スタートアップ企業における法的なポイントを掴んだ上で、転ばぬ先の杖として、早い段階から弁護士に依頼をする重要性をご理解いただけますと幸いです。

~転ばぬ先の杖~令和の時代のスタートアップ法務

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1.はじめに

皆さんこんにちは。弁護士法人XP法律事務所です。

昨今、国内外において投資家等からの注目を浴び、今後も増加の一途を辿っていくことが予想されている「スタートアップ企業」(本稿ではベンチャー企業を含みます。)は、M&AやIPO等といった1つのゴールに向けて、非常に早い速度で事業の拡大が進むことになります。

スタートアップ企業が成功するためには、柔軟なアイディアや役員の経営手腕等が必要とされるところですが、スタートアップ企業においては、創業者・投資家・従業員等をはじめとした、様々なプレイヤー(利害関係人)が登場することから、法的な仕組みを十分に理解した上で、経営判断を行っていくことが必要不可欠となります。

そこで、本稿では、以下の項目のとおり、スタートアップ企業の成長フェーズに即して、法的な注意が必要となる事項及び弁護士の役割をご説明します。

Phase1会社の設立及び内部体制の整備✓ビジネスモデルの検討及び会社の設立
✓創業者が複数いる場合の取り決め
✓優秀な人材の確保
Phase2資金調達✓初期の資金調達(シード期)
✓本格的な資金調達(アーリー期)
Phase3事業の更なる発展に伴う活動✓追加の資金調達(ミドル期)
✓他社との協業の検討
Phase4会社の売却又は上場の検討等✓他社への売却(M&A)の検討
✓上場(IPO)の検討

ぜひ、本稿をご覧いただき、スタートアップ企業における法的なポイントを掴んだ上で、転ばぬ先の杖として、早い段階から弁護士に依頼をする重要性をご理解いただけますと幸いです。

また、弁護士法人XP法律事務所では、事業が軌道に乗るまでは、法務コストを十分に割くことが難しいスタートアップ企業に対して、リーズナブルに法務サポートを提供させていただく、「法務サポート/スタートアッププラン」をご用意しておりますので、合わせてチェックしていただけますと幸いです。

XP法律事務所 法務サポート/スタートアッププランについてはこちら

2.~Phase1~ 会社の設立及び内部体制の整備

(1)ビジネスモデルの検討及び会社の設立

まず、スタートアップ企業を設立するためには、ある程度ビジネスモデルを確立した上で、適切な会社形態を選択する必要があります。

この際、スタートアップ企業におけるビジネスモデルは、従来にはない革新的なアイディアを用いるものも多く、特にその場合には、広く法規制の有無及びその内容並びに他社の権利(知的財産権等)の侵害の有無等を調査し、調査結果に応じた適切な事業計画を立てる必要があります。

こちらの調査は、ビジネスへの理解が深い弁護士に依頼をし、法律・官公庁の見解・判例等のリサーチに加え、必要に応じて所属官庁への照会等を行うことが効果的です。

その上で、多様な形態の出資の受け入れや将来的な上場への対応を考慮した「株式会社」を採用するのか、手続的負担の少ない柔軟な会社形態である「合同会社」を採用するのか等といった会社の形態等を検討していくことになります。

以上のステップを経て、会社の根幹が定まった段階で、会社の基本ルールとなる定款の作成を行った上で、会社の設立手続を進めていくことになります。

弁護士法人XP法律事務所では、ビジネスモデル及び将来的な展開に沿った会社形態を検討の上、会社設立に伴う面倒な手続を丸投げてしていただき、迅速かつ適切な会社設立手続を行うスタートアップ企業向けの「会社設立プラン」もご用意しております。

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(2)創業者が複数いる場合の取り決め

スタートアップ企業の設立は、志を同じにする複数の創業者が共同して行うケースも多く、そのような場合には、将来的な経営方針を巡るトラブル等によって、会社経営の大きな支障となる事態を防ぐために、会社の設立段階で、創業者間で一定の合意(創業者間契約といいます。)をしておくことが一般的です。

具体的には、①創業者による取締役の辞任を禁止又は制限する事項や、②創業者が取締役を辞任する場合に、会社が当該創業者の保有する株式を一定の価額で買い取ることができる事項、③創業者が死亡した場合の事項等を合意することになります。

こちらの合意の内容についても、弁護士にご依頼いただき、創業者の属性や会社の規模等に応じて、適切な創業者間契約書の作成を行うことが肝要となります。

(3)優秀な人材の確保

スタートアップ企業の成長・拡大のためには、優秀な人材(従業員)の確保が必要不可欠であることは言うまでもないことでありますが、優秀な人材の確保のためには、会社の内部規程等を整備した上で採用を行い、他社からの引き抜きを阻止するための策を整えることや、従業員のモチベーションアップのための制度設計等が重要となります。

すなわち、まずは会社で採用する従業員の労働条件(労働時間や給与等)を検討した上で、労働条件の基本的なルールを定める就業規則や、従業員との間で交わす雇用契約書や業務委託契約等を作成することになります。

また、せっかく優秀な人材を確保し、キーパーソンとなるまでに成長したとしても、会社にとって大事な時期に他社からの引き抜きに合うことも珍しくなく、そのような場合に備えて、在職中及び退職後の競業避止義務及び秘密保持義務を定めた規程や、会社と従業員間の知的財産権の帰属に関して定めた職務発明規程等を作成しておくことも重要です。

更には、従業員が、会社の発展に対して高いモチベーションを維持し続ける制度の設計も大切です。

そのためには、従業員に対して、将来、あらかじめ定めた価額で会社の株式を取得することができる権利(新株予約権)を付与することで、会社の発展に伴って株式の価値が増加した時に、当該株式予約権を行使すれば、価値の高い会社の株式をあらかじめ定めた安価で取得することができることから、会社の発展に対するモチベーションを向上させることができます(ストック・オプション制度といいます。)。

このように、優秀な人材の確保のためには、各種規程類の整備やストック・オプション等の制度設計が必要になりますが、弁護士法人XP法律事務所の「法務サポート/スタートアッププラン」では、各種規程類の雛形を無料で配布させていただき、更には個々のスタートアップ企業に応じたストック・オプション等の制度設計をご提案させていただきます。

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3.~Phase2~ 資金調達の実施

(1)初期の資金調達(シード期)

近年、スタートアップ企業の資金調達方法は多様化しており、通常の株式の発行、資金の借入に加え、コンバーティブル・ノート(株式に転換できる特約の付された金銭消費貸借)、コンバーティブル・エクイティ(有償新株予約権の発行)及びクラウドファンディング等と様々です。

このような多様な資金調達方法に加えて、世界的に、スタートアップ企業投資促進税制(いわゆるエンジェル税制)が導入され、スタートアップ企業に株式投資を行う個人投資家に対する税制優遇措置が講じられました。

そのため、スタートアップ企業に対する投資は益々盛んになっており、スタートアップ企業にとっては、設立前後のシード期から、一定の資金調達を実現する可能性が広がっております。

その一方で、特に個人投資家にとっては、スタートアップ企業のポテンシャルを評価し、将来的なキャピタルゲインを目的として株式投資等を行うことが多いことから、資金調達に際しては、①出資の対価としてどのようなオプションを個人投資家に提供するのかといった交渉や、②個人投資家との合意事項に関する適切な契約書等の作成等が必要不可欠となります。

この点も、ぜひ弁護士法人XP法律事務所にご依頼いただき、個人投資家との間の適切な交渉及び、スタートアップ企業にとって必要な資金調達の達成をサポートさせていただければと思います。

(2)本格的な資金調達(アーリー期)

スタートアップ企業の設立後、事業を軌道に乗せることを目指すアーリー期においては、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を行うケースが増えています。

VCは、外部の出資者から資金を募ってファンドを組成した上で、その資金を利用してスタートアップ企業への投資を行い、最終的にキャピタルゲインを出資者に還元することを目的としていることから、個人投資家に比べて、投資対象の判断は厳格に行われることになります。

具体的には、投資に先立って、投資候補であるスタートアップ企業の、価値やリスク等を調査するデュー・ディリジェンス(DD)を行った上で、投資条件等を綿密に定めた投資契約書等を作成し、合意をすることになります。

そして、DDに際しては、VCから大量の資料の提出を求められたり、法的な見解を求められたりすることもあります。

また、投資契約書の作成に際しては、優先株式に関する事項・プットオプションやコールオプションに関する事項、表明保証に関する事項、投資実行の前提条件や誓約事項に加えて、先に投資を行っている個人投資家等との関係の調整に関する事項等、多岐にわたる専門的知識を要する交渉が必要になることから、ビジネスへの理解が深い弁護士のサポートを受けていただくことを推奨しております。

4.~Phase3~ 事業の更なる発展に伴う活動

(1)追加の資金調達(ミドル期)

スタートアップ企業の事業が軌道に乗り、更なる発展を検討する段階においては、追加の資金調達の実施を視野に入れることになります。

この場合、アーリー期の資金調達と同様に、DDの対応や投資契約書等の作成に際して、専門的な知見が必要になります。

また、追加の資金調達を行わなければならないが、当該資金調達が、前の資金調達時(例えばアーリー期の資金調達時)の株価よりも低い株価で株式を発行せざるを得ない場合、いわゆるダウンラウンドと呼ばれ、既存株主の持株比率の低下や、今後の投資家による資本投下の動機付けの喪失にも繋がります。

ダウンラウンドは、過去の資金調達の際に過剰な企業価値評価がなされていた場合や、事業計画の未達成、キーパーソンの退職等によって生じると言われており、このような事態を避けるためには、専門家による適切な企業価値評価や、前述したキーパーソンの退職等を防止する策の構築が必要です。

また、ダウンラウンドを事後的に回避するために、コンバーティブル・ノート等の借入によって資金調達を行い、既存株主の持株比率の低下を防止する方法(ブリッジ・ファイナンス)も検討に値するため、弁護士を始めとする専門家の意見を踏まえながら、適切に対応していくことが重要になります。

(2)他社との協業の検討

スタートアップ企業の成長の一環として、例えば大企業等の豊富なリソースを利用し、新しい技術の開発を進めることもしばしば見られます。

この場合には、他社との間で、共同研究開発に関する契約等を締結し、機密情報の第三者への漏洩防止や、新技術の知的財産権の帰属や使用方法等について、詳細に取り決めを行うことになります。

このような取り決めを行う際には、協業のメリットを生かしつつ、双方の事業の自由度を不当に制約しない落としどころを探すことがポイントになります。

5.~Phase4~ 会社の売却又は上場の検討等

(1)他社への売却の検討

近年、投資家のスタートアップ企業からのエグジットの方法として、M&Aによる事業会社等への売却事例が増加しています。

具体的なスキームとしては、①会社全体の売却を目的とする株式譲渡、②会社の事業を売却する事業譲渡、③会社法上の組織再編である合併や吸収分割等、多岐にわたります。

M&Aを実行するに際しては、スタートアップ企業の規模や投資家(株主)の要望・意見等を踏まえて、適切なスキームを決定していく必要があります。

この際にも、買収者によるDDへの対応や、各種契約書の作成、投資家(株主)との交渉等、専門的な知識を要する対応が多く発生することから、弁護士のサポートを受けていただくことが重要となります。

(2)上場の検討

スタートアップ企業の一つの成功の形としては、やはり「上場の達成」が挙げられ、投資家にとっても、典型的なエグジット手法の一つとなります。

上場をすることによって、①株式が公開市場で取引可能となり、一般投資家が株式の投資をしやすくなる、②上場による知名度や信用力の向上ひいてはブランド価値の上昇からから、ビジネスの発展や優秀な人材獲得に繋がり、③より大きな規模での資金調達も可能となる等、様々なメリットが生じることになります。

他方で、上場のためには、膨大かつ緻密な準備が必要となります。

具体的には、上場をする市場を選択し、上場のスケジュールを作成した上で、会社の機関設計、コーポレートガバナンスの設計及びコンプライアンス体制の底上げ等の整備を行い、証券取引所による上場審査に臨むことになります。

このように、上場の準備及び上場審査のためには、高度な専門知識が要求されるため、開示規制や上場制度に精通した弁護士や、上場時に必要な財務諸表の監査を行う監査法人等のサポートを受けることが必要不可欠となります。

6.スタートアップ法務は弁護士法人XP法律事務所にお任せを

ここまで、スタートアップ企業の成長フェーズに即して、法的な注意が必要となる事項及び弁護士の役割を説明させていただきました。

ここまでお読みいただけましたら、スタートアップ企業の経営判断に必要となる基本的な法的仕組みをご理解いただけたかと思いますが、同時に、法務面を弁護士に丸ごと依頼することの利便性及び重要性も感じ取っていただけていましたら幸いです。

また、弁護士については、できるかぎり早い段階からお付き合いをさせていただくことによって、クライアントであるスタートアップ企業が営むビジネスへの理解が深まりより柔軟かつ適切な法的サポートを提供させていただくことが可能となります。

弁護士法人XP法律事務所は、所属弁護士のビジネスへの理解の深さもさることながら、スタートアップ法務の豊富な経験を有しており、「専門的知見に基づきビジネスを創出する新しい法律事務所」として、数多くのクライアント様と顧問契約を結ばせていただいております。

スタートアップ企業に対しては、①リーズナブルに法務サポートを提供させていただく、「法務サポート/スタートアッププラン」と、②会社設立に伴う面倒な手続を丸投げてしていただき、迅速かつ適切な会社設立手続を行うスタートアップ企業向けの「会社設立プラン」をご用意しておりますので、この機会に是非ご検討いただけますと幸いです。

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