薬機法(旧薬事法)
【2023年最新】薬機法(旧薬事法)における化粧品広告を徹底解説!押さえておきたい注意事項も
皆さんは、テレビCMやInstagramなどのSNSにおいて宣伝される「化粧品」に、薬機法における広告ルールが設けられていることをご存知ですか?薬機法における化粧品の前提知識をはじめ、化粧品広告の概要や注意事項、違反した際のリスクや罰則など、皆さまの疑問を解決する為、化粧品を取り巻く規制について解説させていただきます。

arrow_drop_down 目次
はじめに
皆さんは、テレビCMやInstagramなどのSNSにおいて宣伝される「化粧品」に、薬機法における広告ルールが設けられていることをご存知ですか?
「薬機法(旧薬事法)」とは、医薬品等の製造や販売と深い関わりのある法律のことで、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と呼びます。
薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用されることから、対象となる製品の製造者や販売者だけでなく、代理店・制作会社・ライター・インフルエンサーなども、薬機法を正しく理解し、薬機法を遵守することが重要です。
「知らず知らずのうちに薬機法に違反していた」などのトラブルを防ぐためにも、弁護士をはじめとする専門家にアドバイスを仰ぐ、というのも一つの選択肢ではないでしょうか。
ここまで、薬機法における化粧品の前提知識をはじめ、薬機法における化粧品広告の概要や注意事項、薬機法に違反した際のリスクや罰則など、皆さまの疑問を解決するため、化粧品を取り巻く規制について解説させていただきます。
薬機法における「化粧品」とは

薬機法において、「化粧品」とは、次のように定義されています。
併せて、使用の際には、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法を用いると表記されています。
また、「医薬品」としての使用目的を併せ持つものや「医薬部外品」を除外したものに限り、薬局やドラッグストア以外に、一般小売店でも購入可能な製品です。
第2条第3項:化粧品の定義
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
化粧品の具体例は、次の図の通りです。
分類 | 内容 |
化粧品 | 例:「シャンプー」「リンス」「コンディショナー」 「石鹸」「化粧水や保湿クリームをはじめとするスキンケア用品」 「ファンデーションや口紅などのメイクアップ用品」「マニキュア」「香水」など |
薬機法についての詳細はこちらの記事をご覧ください
化粧品の「全成分表示義務」について

文字通り、日本で化粧品を製造・流通する際には、化粧品に含まれる「全成分の名称」を表示することが義務付けられているのです。
厚生労働省医薬局では、「化粧品の全成分表示の表示方法等について」という、化粧品の全成分表示義務における6つの規定を公表しています。
具体的には、次の通りです。
1. 「化粧品の成分表示名称リスト」を利用し、消費者の混乱を防ぐ
化粧品の製造業者によって設立された「日本化粧品工業連合会(JCIC)」による、「化粧品の成分表示名称リスト」を活用し、消費者の安全を確保するため努めましょう。
成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
2. 化粧品の配合成分は分量の多い順に記載する
化粧品の成分を表示する際には、使用分量の多いものから順に記載することを徹底しましょう。
ただし、使用割合が1%以下の成分や着色料に関しては、順不同で記載可能です。
成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
3. キャリーオーバー成分は「全成分表示義務」の例外
「キャリーオーバー成分」とは、本来の成分に混ざり込んだ微細な成分(効果を発揮するほどの分量が含まれていない成分)のことです。
この成分は、「全成分表示義務」の例外となっており、名称を記載する必要はありません。
配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。
4. プレミックスは混合成分ごとに記載する
「プレミックス」とは、複数の成分からなる混合原料のことです。
該当の化粧品に使用している場合、混合されている成分ごとに記載する必要があります。
混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。
5. 抽出物と溶媒を分けて記載する
溶媒を使って抽出または希釈している「抽出物」を原料に使用する場合、「抽出された物質」と「溶媒」を記載することを徹底しましょう。
抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
6. 香料の成分は「香料」の記載可能
香り付けの効果だけを目的とした「香料」を使用する場合、「香料」とのみ記載可能です。
香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えないこと。
薬機法における広告規制とは?

薬機法では、広告に関して、次の規制が定められています。
薬機法違反として見なされる行為は、次の3項目です。
- 虚偽・誇大広告等(第66条)
- 特定疾病用の医薬品及び再生医療製品等製品の広告の制限(第67条)
- 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止(第68条)
後ほど詳細についてご説明しますが、上記に違反した場合、「行政処分」「課徴金納付命令」「刑事罰」に処罰を受ける可能性があるため、広告の扱いには、慎重になることが重要です。
具体的な内容は、次の図をご覧ください。
項目 | 具体的な内容 |
1. 虚偽・誇大広告等 | ■ 医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能に関して、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布の禁止 ■ 医薬品等の効果・効能・性能に対して、医師などが保証したと誤解されるおそれのある広告の規制 ■ 堕胎を暗示するものやわいせつな文書・図画を用いること |
2. 特定疾病用の医薬品及び再生医療製品等製品の広告の制限 | ■ がん・肉腫・白血病などに使用されることが目的とされている医薬品・再生医療等製品のうち、医薬関係者以外の一般人を対象とした広告の禁止(医師をはじめとする医薬関係者を対象にした広告であれば可能) |
3. 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告 | ■ 未承認医薬品等に関する広告の禁止 ■ 医薬品等に該当しないものであっても「医薬品等と誤認させるような効能・効果の表示・広告」を行った場合(薬でないもの」を「薬」のように宣伝すること)、「未承認の医薬品等」と判断される |
薬機法における広告の概要と規制の対象者
薬機法における「広告」について、次のように定義しています。
- 消費者を誘引する意図が明確
- 特定医薬品等の商品名が明らかされている
- 一般人でも認知できるもの
上記の通り、広告と見なされるカテゴリーは、一般消費者(生活者)向けの広告媒体すべてが該当します。
具体例は、次の図のようになっており、広告を掲載した媒体そのものを指します。
広告のカテゴリー | |||
テレビ | 新聞 | 雑誌 | ラジオ |
Webサイト | アフェリエイト広告 | SNS広告 | チラシ・ポスター・パンフレット |
ダイレクトメール(DM) | ブログ | 電子メール | – |
対象者は、次の図の通り、該当の違反広告に関係する「すべての人」が対象となります。
広告主というポイントをはじめ、法人・個人か否かに加え、フリーランスであるかを問われません。
広告制限の対象者 | |
広告主・広告代理店 | メディア運営事業者 |
レビューサイト運営事業者 | ライター |
アフェリエイター | インフルエンサー |
また、上記の対象者が広告に携わるにあたって、次の事項にご留意ください。
重ねて、「フリーランスで記事執筆を依頼されただけ」「インフルエンサーとしてInstagramで発信しただけ」であっても、薬機法における広告規制を遵守する必要があるのです。
薬機法に違反した場合のペナルティ

先ほどご紹介した通り、薬機法に違反した場合、次の処遇を受ける可能性があります。
- 行政処分
- 課徴金納付命令
- 刑事罰
それでは各項目ごとの詳細について解説していきます。
薬機法における広告規制を正しく遵守するためにも、法律の専門家である弁護士にアドバイスを仰ぐというのも一つの選択肢として、ご検討してみてはいかがでしょうか?
行政処分
各段階にも順序があり、まずは「行政指導」となり、違法状態になっている内容を改めるよう命じ、報告書の提出を求められるのです。
その後、弁明の機会が与えられ、状況に応じ、課徴金納付命令をはじめとする、さまざまな措置が施されます。
行政処分の流れ | 具体的な内容 |
行政処分 | 【第70条第1項:製品の廃棄・回収命令】 医薬品等を業務上取り扱う者が品質不良・不正表示の製品など、薬機法に違反した医薬品等を販売した場合、公衆衛生上の危険を防止するため、違反行為に関連する医薬品等の廃棄・回収命令を受ける可能性がある。(要約) |
業務改善命令 | 【第72条第1項:業務改善・停止命令】 医薬品等の製造販売業者が医薬品等における、品質管理や安全管理の方法が基準に適合しない場合、業務改善命令または改善までの間、業務の一時停止を命じられる可能性がある。(要約) |
措置命令 | 【第72条の5第1項:措置命令】 次の項目に違反した場合、措置命令を受ける可能性がある。 ・虚偽・誇大広告等(第66条) ・承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止(第68条) 具体的には、違反広告を中止させる他、再発防止のため、違反広告の公表などが命じられる。(要約) |
業務停止命令 | 2.と同内容 |
許可・登録の取消 | 【第75条第1項・第75条の2第1項:許可・登録の取消】 医薬品等の製造販売業者や販売業者が、許可・登録の基準を満たしていない場合に加え、薬機法に違反した場合、製造・販売の許可・登録が取り消される可能性がある。(要約) |
課徴金納付命令 | 次の節でご紹介したします。 |
課徴金納付命令
薬機法改正において、近年増加している、インターネット広告における、虚偽・誇大広告の違反行為の影響により、「課徴金制度」が導入されました。
こちらの制度の対象は、第66条の「虚偽・誇大広告等の禁止」に違反した場合です。
課徴金の額と支払い期間は、次の通りになります。
- 虚偽・誇大広告を行っていた期間中に得られた売上金額の4.5%
- 課徴金の対象期間は、違反行為の開始日から数えて、最長3年間
ただし、次のようなケースでは、課徴金の減額や免除になる可能性があります。
課徴金の減額や免除になるケース | 課徴金の減額や免除の割合 |
対象となる売上金額が5,000万円未満の場合 | 課徴金の免除(課徴金納付命令の対象外) |
違反行為の発覚前に違反者が自主的に申告した場合 | 課徴金額の50%減額 |
刑事罰
主な違反行為と刑事罰の内容は、次の図の通りです。
違反項目 | 違反内容 | 刑事罰の内容 |
第84条:無許可製造・販売 | 次の対象者が医薬品等を無許可で製造・販売した場合 ・医薬品の製造販売業(第12条第1項)・医薬品の販売業(第24条第1項) | 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または両方 |
第85条:虚偽・誇大広告 | ・虚偽・誇大広告等の禁止(同第66条)に違反した場合、 | 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方 |
第86条:特定疾病用の医薬品等に関する広告 | がん・肉腫・白血病など、特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告の禁止(第67条)。 | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方 |
重ねて、従業員が違反した場合、違反者本人だけでなく、両罰規定により、法人にも罰金刑があることにもご留意ください。
日本化粧品工業連合会による化粧品広告の適正表現とは

こちらの章では、化粧品の製造業者によって設立された「日本化粧品工業連合会(JCIC)」が発信する、薬機法における化粧品広告の適正表現について、ご紹介します。
「化粧品等の適正広告ガイドライン」とは、広告表現として規制及び遵守されるべき事項がまとめられたものです。
また、厚生労働省においても、医薬品等適正広告基準を公表しているため、こちらも併せて、代表的な一例をご紹介いたします。
1. 化粧品等の名称について広告する際は、他のものと同一性を誤認させるものであってはならな
原則、化粧品等の名称について広告する際は、次の名称以外を使用することを禁止しています。
- 医薬品医療機器等法第14条の規定に基づく、承認を受けた販売名
- 医薬品医療機器等法第14条の9に基づく、製造販売の届出を行った販売名
販売名の略称または愛称を使用する場合は、次の規定を守りましょう。
販売名の略称または愛称を使用する場合の規定 |
■ 「略称」または「愛称」は、広告の前後の関係から総合的にみて、 同一性を誤認させるおそれがない場合、使用可能 |
■ 名称(販売名)に使用できないものは、「略称」または「愛称」にもできない |
■ 「名称」に同一性を誤認させる可能性がない範囲で、「漢字」に「ふりがな」を補足したり、アルファベットを併記することは可能 |
■ 名称(販売名)の表現は、的確に行う |
ちなみに、承認される可能性が非常に低い「名称(販売名)」は下記の通りです。
具体例 | ||
1. 既存の医薬品や医薬部外品と同一の名称 | 2. 虚偽・誇大な名称あるいは誤解を招くおそれのある名称 | 3. 配合されている成分のうち、特定の成分名称を名称に用いない |
4. ローマ字のみの名称 | 5. アルファベット・数字・記号等が多い名称 | 6. 剤型と異なる名称 |
7. 他社が「商標権」を有することが明白な名称 | 8. 化粧品の表示に関する「公正競争規約」に抵触するもの | 9. 医薬品または医薬部外品とまぎらわしい名称 (例:〇〇薬・薬用〇〇など) |
【名称関係】
(1)承認又は認証を要する医薬品等の名称についての表現の範囲 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (昭和 35 年法律第 145 号。以下「法」という。) 第 14 条又は第 23 条の 2の5若しくは第 23 条の 25 の規定に基づく承認並びに法第 23 条の 2 の 23 の規定に基づく認証(以下「承認等」という。)を受けた名称又は一般 的名称以外の名称を、別に定める場合を除き使用してはならない。 ただし、一般用医薬品及び医薬部外品においては、共通のブランド製 品の共通部分のみを用いることは差し支えない。
(2)承認等を要しない医薬品等の名称についての表現の範囲 承認等を要しない医薬品等については、日本薬局方に定められた名称、 法第 14 条の9若しくは第 23 条の2の 12 の規定に基づく届出を行った一 般的名称又は届け出た販売名以外の名称を、別に定める場合を除き使用 してはならない。 なお、販売名はその医薬品等の製造方法、効能効果及び安全性につい て事実に反する認識を得させるおそれのあるものであってはならない。
2. 化粧品の製造方法や実際の研究と異なる表現または事実に反する表現の規制
化粧品等の製造方法や研究等における広告表現において、次のような規制が設けられています。
【製造方法関係】
医薬品等の製造方法について実際の製造方法と異なる表現又はその優秀性 について事実に反する認識を得させるおそれのある表現をしてはならない。
上記の通り、製品の優秀性について事実に反して誤認させないためにも、下記の図のような広告表現を禁止しています。
項目 | 具体例 |
1. 最大級の表現 | 「最高の技術」「最先端の製造方法」 |
2. 最大級の表に類する表現 | 「近代科学の粋を集めた製造方法」「理想的な製造方法」「家伝の秘法により作られた」 |
ただし、「製造部門」「品質管理部門」「研究部門」などを広告の題材として扱う場合、下記の条件を満たしている場合には、このような表現を用いることが可能です。
- 事実に基づいた表現
- 製造方法等の優秀性に加え、他社・他製品との比較において誤認を与えない表現
3. 成分に関する虚偽の表現や不正確な表現を用いた、事実に反する認識を与える可能性のある広告の禁止
成分の事実に反した広告を行わないよう、次のような規制が設けられています。
【医薬品等の成分等及び医療機器の原材料等についての表現の範囲】
医薬品等の成分及びその分量又は本質等並びに医療機器の原材料、形状、構造及び原理について、承認書等への記載の有無にかかわらず、虚偽の表現、不正確な表現等を用い効能効果等又は安全性について事実に反す る認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。
規制内容を簡単にまとめると、次の図の通りです。
項目 |
1. 「各種〇〇」「数種〇〇」という表現は不正確な表現で、かつ誤認を生む可能性がある。 |
2. 配合成分の表現の仕方で「15種類の〇〇を配合」のように配合成分数をあげることは事実である限り、使用可能。 |
3. 配合成分をアルファベットなどの略号・記号で表現することは、本来の成分名が明確に説明してある場合以外は行わない。 |
4. 特定成分の「特記表示」は、その成分が有効成分であるかのような誤解を生じるため、原則として行わない。 |
5. 「配合成分」の表現は、当該成分が有効成分であるかの誤解を与えないようにすること。 |
6. 特定成分において「無添加」などの表現をすることは、何を添加していないのか不明であり、不正確な表現となる。 |
7. 「肌のトラブルの原因になりがちな香料や着色料を含有していない」などの表現はしないこと。 |
4. 効能・効果や安全性の保証の禁止
【効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止】
医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。
具体例 |
「根治」「全快する」「安全性は確認済み」「副作用の心配はない」 |
なお、効能・効果または安全性を保証する表現については、明示的・暗示的を問わず、認められていません。
5. 医薬関係者による推薦表現の禁止
医薬関係者をはじめ、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他化粧品等の効能・効果に対して、世間の認識に大きな影響を与える【公務所・学校・学会】を含む団体が指定し、「公認」「推薦」「指導」「選用している」などと謳う広告を行うことを禁止しています。
医薬関係者などによる化粧品の推奨広告は、一般消費者の化粧品に対する認識に影響を与える可能性が高いことから、不適当と見なされるのです。
なお、美容ライターや美容家(専門家・研究家などの著名人を含む)による、広告行為については、これに該当しません。
ただし、化粧品などの効能・効果に関して、世人の認識に相当の影響を与えると考えられる場合、本項に抵触する可能性があるため注意が必要です。
【医薬関係者等の推せん】
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効 能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を 含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。 ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等 をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。
6. 効能・効果や安全性を示す使用体験談の規制
ただし、効能・効果または安全性以外の【使用方法・使用感・香りのイメージ等】に関しては、事実に基づいた使用者の感想の範囲の場合、使用可能です。
この時、過度な表現や保証的な表現とならないよう注意しましょう。
【使用体験談等について】
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者 に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以 下の場合を除き行ってはならない。 なお、いずれの場合も過度な表現や保証的な表現とならないよう注意すること。
①目薬、外皮用剤及び化粧品等の広告で使用感を説明する場合 ただし、使用感のみを特に強調する広告は、消費者に当該製品の使用目 的を誤らせるおそれがあるため行わないこと。
②タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合
7. 化粧品の使用前・使用後等の図画や写真使用の規制
化粧品の使用前後に関わらず、図面や写真による表現について、次のような規制が設けられています。
【図面、写真等について 】
使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。
具体的には、次のような表現は認められません。
- 承認等外の効能効果などを連想させるもの
- 効果発現までの時間や効果持続時間の保証となるもの
- 安全性の保証表現
重ねて、使用前後の比較に使用される写真は、同一条件で撮影されたものであり、作為的 な修正が加えられていないものでなければならないと定められています。
8. 用法・用量についての表現範囲の規制
安全性に関わる配合成分や用法用量などの表現について、承認を受けた範囲を超えるような、次のような表現について、規制が設けられています。
【用法用量についての表現の範囲】
医薬品等の用法用量について、承認等を要する医薬品等にあっては承認等を受けた範囲を、承認等を要しない医薬品等にあっては医学、薬学上認められている範囲をこえた表現、不正確な表現等を用いて効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。
具体例 |
「天然成分を使用しているため絶対に安全」「いくら使っても安全」「使用法を問わず安全である」 |
9. 臨床データや実験例の使用禁止
消費者に対して説明不足となり、誤解を与える可能性があることから、次のような規制が設けられています。
【臨床データ等の例示について】
一般向けの広告にあっては、臨床データや実験例等を例示することは消費者に対して説明不足となり、かえって効能効果等又は安全性について誤 解を与えるおそれがあるため原則として行わないこと。
10. 他社の製品等に対する誹謗広告の禁止
他社が展開する化粧品等の【品質・効能効果・安全性など】について、製品を誹謗するような広告を禁止しています。
具体的な商品やブランドを特定しない場合であっても、不適切な表現であると指摘を受ける場合があるため、注意が必要です。
【他社の製品の誹謗広告の制限】
医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない。
具体例 |
「他社の口紅は流行遅れのものばかりだ」 「他社の製品は未だに〇〇を配合している」《広告に他社の製品の名称(製品の販売名・略称・愛称・ ブランド名等)を無断で使用すること》 |
11. 不快・迷惑・不安・恐怖を与える可能性のある広告の禁止
化粧品等の広告について、文字通り、【不快・迷惑・不安・恐怖】といった感情を抱いてしまうような表現について、次のような規制が設けられています。
【不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限】
広告に接した者に、不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現 や方法を用いた広告を行ってはならない。 特に、電子メールによる広告を行う際は、次の方法によらなければならない。
(1)医薬品販売業者の電子メールアドレス等の連絡先を表示すること。
(2)消費者の請求又は承諾を得ずに一方的に電子メールにより広告を送る場合、メールの件名欄に広告である旨を表示すること。
(3)消費者が、今後電子メールによる広告の受け取りを希望しない場合、 その旨の意思を表示するための方法を表示するとともに、意思表示を示 した者に対しては、電子メールによる広告の提供を行ってはならないこと。
具体例 |
「〇〇が痒いまたは痛い原因は〇〇病の前兆である」「この化粧品を使用しなければ〇〇が加速します」 |
薬機法(旧薬事法)に違反しないためには専門家の力を借りること

ここまで、薬機法における化粧品の前提知識をはじめ、薬機法における化粧品広告の概要や注意事項、薬機法に違反した際のリスクや罰則など、化粧品を取り巻く規制について解説をしてきました。
繰り返しとなりますが、薬機法における化粧品の定義とは次の通りです。
特に、化粧品を含む、薬機法の該当製品を扱う際には、日々情報をアップデートし、薬機法を遵守するよう心掛ける必要があります。
薬機法に違反した場合、行政処分・課徴金納付命令・刑事罰の対象になる可能性があるため、一人ひとりが薬機法について学び、ルールを遵守するよう努めることが重要です。
ただし、薬機法等のリーガルチェックや書き換え表現を行うことは、専門性が高く、どれだけ確認をしても、不安が残ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。
弁護士をはじめとする法律の専門家に依頼することで、不正確な情報の発信やトラブルを未然に防げるだけでなく、製品を使用する消費者の安全性を守ることにも繋がります。
XP法律事務所では薬機法に関するリーガルチェックや法律に則った訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。
化粧品広告規制に関する助言や審査、薬機法についてご不明点がある場合には、XP法律事務所までお気軽にご相談ください。
こちらの記事は、2023年11月15日時点の情報です。
お問い合わせ先
【XP法律事務所】
- 代表弁護士:今井 健仁(第二東京弁護士会)
- 所在地:〒104-0061 中央区銀座1-15-4 銀座一丁目ビル13階
- TEL:03-6274-6709(銀座本店)
- FAX:03-6274-6710(銀座本店)
- ホームページ:
- https://xp-law.com/