薬機法(旧薬事法)

【2023年最新】薬機法(旧薬事法)における医薬品広告を徹底解説!

皆さんは医薬品の広告に関して、薬機法で規制が設けられていることをご存知ですか?医薬品の広告は、携わるすべての人が規制の対象者となるため、慎重になることが重要です。本記事では、薬機法の前提知識をはじめ、医薬品の概要と分類、違反時の罰則、医薬品広告の注意事項など、医薬品を取り巻く広告規制について解説させていただきます。

【2023年最新】薬機法(旧薬事法)における医薬品広告を徹底解説!

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はじめに

皆さんは、医薬品と呼ばれる、医師からの処方箋で付与される調剤薬や風邪薬・胃腸薬などの市販薬の広告に関して、薬機法で規制が設けられていることをご存知ですか?

薬機法では、広告に対しても規制が設けられており、薬機法に係る製品の広告を行う際には、違反しようという意図がない場合でも、言葉の選び方一つで、薬機法に違反してしまう可能性があるのです。

薬機法の広告を行うにあたって、広告に携わるすべての人が規制の対象者となるため、慎重になる必要があります。

なお、「広告代理店から依頼され、フリーランスのライターとして医薬品の記事を執筆しただけ」「製薬会社と広報担当として医薬品をTwitterで広告しただけ」といったケースでも、薬機法に接触した際には、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用されてしまうのです。

従って、薬機法に係る製品の広告を行う際には、医薬品の製薬会社製造者はもちろん、その医薬品を取り扱う、代理店・制作会社・ライター・インフルエンサーまで薬機法を正しく理解し、薬機法を遵守するよう徹底することが重要です。

本記事では、薬機法の前提知識をはじめ、薬機法における医薬品の概要分類薬機法に違反した場合の罰則医薬品広告を行う際の注意事項など、薬機法における医薬品を取り巻く広告規制について解説させていただきます。

XP法律事務所では、医薬品分野をはじめとする薬機法に関するリーガルチェック広告の訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。

医薬品広告に関する助言や審査、薬機法についてご不明点がある場合には、XP法律事務所までお気軽にご相談ください。

そもそも薬機法とは

医薬品を取り巻く広告規制について解説する前に、薬機法の定義からご紹介させていただきます。

まず、「薬機法(やっきほう)」とは、正式名称医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律のことで、現在の法令名を略した名称を指します。

製品の安全性と品質、有効性を確保し、保健衛生の向上を図ることを目的とした、医薬品等の製造や販売をはじめ、流通や表示、広告に関する規律を行う法律です。

第1条:目的

この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

上記の引用の通り、薬機法の規制対象は、次の5分野となり、これらの製品を総称し「医薬品等」と呼びます。

医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品

薬機法に関して、以前は「薬事法(やくじほう)と呼ばれていましたが、2014年11月25日に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」により、現在の名称に変更されました。

薬機法に違反した場合、行政処分・課徴金納付命令・刑事罰などの処遇を受ける可能性があるため、ご注意ください。

従って、薬機法について正しい知識を学び、一人ひとりが法律を遵守するよう努めることが重要です。

薬機法違反にあたる行為の例

前章で薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用される可能性があると、ご紹介しました。

こちらの章では、薬機法違反として見なされる行為について、解説いたします。

薬機法における違反行為は、次の3点です。

  1. 無許可営業・無登録営業
  2. 医薬品等の取り扱いに関する違反
  3. 広告規制違反

各違反行為の詳しい内容については、後ほどご紹介させていただきます。

http://corporate.xp-law.com/%e8%96%ac%e6%a9%9f%e6%b3%95%ef%bc%88%e6%97%a7%e8%96%ac%e4%ba%8b%e6%b3%95%ef%bc%89/yakkihou_yakuzihou/

薬機法における「医薬品」とは

まず、ご紹介するのは、薬機法における「医薬品」の定義です。

薬機法において、次のように定義されています。

  • 人や動物の病気の診断・治療・予防に使用されることを目的としたもの
  • 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすもの

具体的には、繁用されている医薬品が収載された日本薬局方と呼ばれる、厚生労働大臣が定める医薬品の規格基準書に記載されたものを条件としています。

ただし、機械器具等(機械器具・歯科材料・医療用品・衛生用品・プログラムなど)は、医薬品ではないため、注意しましょう。

第1章 第2条第1項:医薬品の定義

この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

  1. 日本薬局方に収められている物
  2. 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
  3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

医薬品の分類

こちらの章でご紹介するのは、医薬品の分類についてです。

医薬品は大きく分けて、「医療用医薬品」「市販薬」に分類されます。

この分類の中でもある基準により、各項目が設けられているため、薬機法改正に伴い改正された、「要指導医薬品」と「一般医薬品」などの項目も合わせて、解説させていただきます。

医療医薬品について

まずは、医療用医薬品についてご紹介します。

前提として、医療用医薬品とは、病院などの医療機関で医師または歯科医師によって使用されたり、これれらの者の診断のもと発行された処方箋により調剤された薬のことです。

上記の医療用医薬品の中には、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」以外の医薬品を指す「薬局医薬品」に分けられており、この項目においても「医療用医薬品」「薬局製造販売医薬品」という分類が存在します。

さらに、「処方箋医薬品」「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」とカテゴライズされています。

ここで注意したいのは、がんや白血病などの特殊疾病に使用する医薬品について、一般消費者(医薬関係者以外の人)に対し、広告を行うことを禁止している点です。《薬機法の広告規制【薬機法 第67条】より》

身体への危害が生じる可能性が高いため規制されています。

ただし、医師をはじめとする医薬関係者を対象にした広告であれば可能です。

各項目の詳細については、次の表をご覧ください。

項目内容注意事項
医療用医薬品「人体に対する作用が著しく、重篤な副作用を生じるおそれのある医薬品」■ 処方箋必須
■ 正当な理由がある場合、処方箋がなくても販売可能
薬局製造販売医薬品「薬局の設備・器具を用いて製造し、薬局で直接販売・授与する医薬品」■ 処方箋必須
■ 一般用医薬品では当該疾病に対処できないような場合は、処方箋なしでも調剤販売可能
■ 製造した当該薬局以外の他の薬局または店舗で販売してはならない

市販薬について

こちらの章では、市販薬についてご紹介します。

市販薬は、大きく分けて「要指導医薬品」と「一般医薬品」に分けられます。

要指導医薬品

「要指導医薬品」とは、次の定義の通りです。

第2章 第4条5項3:薬局(開設の許可)

要指導医薬品

次のイからニまでに掲げる医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであつて、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものであり、かつ、その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。

イ その製造販売の承認の申請に際して第十四条第十一項に該当するとされた医薬品であつて、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

ロ その製造販売の承認の申請に際してイに掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品であつて、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

ハ 第四十四条第一項に規定する毒薬

ニ 第四十四条第二項に規定する劇薬

簡単にまとめると、次の条件にすべて該当するものを指します。

  • 効能及び効果において、人体に対する作用が著しくないもの
  • 薬剤師やその他の医薬関係者から提供された情報に基づき、需要者の選択によって使用されることが目的とされているもの
  • 適切に使用するにあたって、薬剤師による対面での情報提供や薬学的知見に基づく指導が行われることを要するもの
  • 厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの

要指導医薬品の販売・購入にあたって、処方箋は不要です。

ただし、上記の通り、薬剤師が対面で情報提供や指導などをすることが義務付けられており、インターネットでの販売ができない医薬品の区分を指します。

なお、上記引用のイからロの項目については、下記の表をご覧ください。

項目内容注意事項
ダイレクトOTC医薬品医薬品のうち、医療用医薬品も含めて初めての有効成分を含有するもの■ 製造・販売の承認の申請に際し、第14条第11項に該当するとされた医薬品で、申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
スイッチ直後品目「医療用から一般用に移行して間もなく、一般用医薬品としてのリスクが確定していないもの」■ 製造・販売の承認の申請に際し、「ダイレクトOTC医薬品」で掲げる、下記の条件と同一性を有すると認められた医薬品で、申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

・有効成分
・分量
・用法/用量
・効果/効能
毒薬「毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品」■ 第44条第1項に規定する
劇薬「劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品」■ 第44条第2項に規定する

一般医薬品

「一般医薬品」とは、次の定義の通りです。

第2章 第4条5項4:薬局(開設の許可)

医療用医薬品から一般用に移行して間もない医薬品(スイッチ直後品目)であるため一般用としてのリスクが確定していないものや劇薬であり、他の一般用医薬品とは性質が異なるため、薬剤師による指導と情報提供を店舗において対面で行うこととされています。

なお、一般医薬品は薬局・薬店で販売しており、販売・購入にあたって、処方箋は不要です。

重ねて、インターネットでの購入も可能となります。

項目内容注意事項
第一類医薬品「副作用などにより、日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの」
「製造・販売の承認の申請に際して、第14条第11項に該当する医薬品で、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの」
■ 副作用等のリスクが高い医薬品
(例:「胃薬(H2ブロッカー)」「一部の毛髪剤」など)
第二類医薬品「副作用などにより、日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品」
「厚生労働大臣が指定するもの」

※第一類医薬品を除く
■ 副作用等のリスクが中程度の医薬
(例:「解熱鎮痛剤」「鎮痛剤」「風邪薬」など)

指定第2類医薬品:第2類医薬品の中で特に注意が必要な医薬品
(例:「漢方薬」など)
第三類医薬品「第一類医薬品及び第二類医薬品以外の一般用医薬品」■ 副作用等のリスクが比較的低い医薬品
(例:「湿布」「整腸剤」「消化薬」など)

薬機法における違反行為

冒頭、薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用される可能性があるとご紹介しました。

薬機法において違反行為として見なされる項目は、以下の通りです。

  1. 無許可営業・無登録営業
  2. 医薬品等の取り扱いに関する違反
  3. 広告規制違反

今回の記事では、広告規制を中心にご紹介させていただきます。

その他の項目の詳細については、次の記事をご覧ください。

http://corporate.xp-law.com/%e8%96%ac%e6%a9%9f%e6%b3%95%ef%bc%88%e6%97%a7%e8%96%ac%e4%ba%8b%e6%b3%95%ef%bc%89/yakkihou_yakuzihou/

薬機法における広告の定義と対象者について

こちらの章でご紹介するのは、薬機法における広告規制についてです。

まずは、薬機法における広告の定義について解説させていただきます。

薬機法における広告の定義は、次の通りです。

  1. 消費者を誘引する意図が明確
  2. 特定医薬品等の商品名が明らかされている
  3. 一般人でも認知できるもの

上記の通り、広告と見なされるカテゴリーは、一般消費者(生活者)向けの広告媒体すべてが該当します。

具体例は、次の図をご覧ください。

広告に該当するカテゴリー
テレビ新聞雑誌ラジオ
Webサイトアフェリエイト広告SNS広告チラシ・ポスター・パンフレット
ダイレクトメール(DM)ブログ電子メール

対象者は、違反広告に関係する「すべての人」が対象となります。

広告主というポイントをはじめ、法人・個人か否かに加え、フリーランスであるかを問わないため、注意が必要です。

広告制限の対象者
広告主・広告代理店メディア運営事業者
レビューサイト運営事業者ライター
アフェリエイターインフルエンサー

薬機法違反にあたる行為と医薬品広告で注意すべきポイントの例

医薬品をはじめとする薬機法に係る製品の広告を行うにあたって、次の項目を禁止しています。

  • 虚偽・誇大広告等(第66条)
  • 特定疾病用の医薬品及び再生医療製品等製品の広告の制限(第67条)
  • 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止(第68条)

後ほど詳細についてご説明しますが、上記に違反した場合、厳しい処罰を受ける可能性があります。

広告を行うにあたって、製品の品質・有効性・安全性を確保し、消費者を保護するほか、市場に不適切な製品をはじめ、誇張表現や消費者に効果・効能を誤認させる表現を含んだ宣伝が出回るリスクを減らす役割を果たすよう努めることが重要です。

専門的な知識を要する薬機法における訴求表現など、弁護士に具体的なアドバイスを求めることで、不正確な情報の発信やトラブルを未然に防ぎ、製品を使用する消費者の安全性を守ることにも繋がるでしょう。

具体的な内容は、次の節でご紹介させていただきます。

1. 虚偽・誇大広告等の禁止

薬機法の広告規制において、禁止されている1つ目の項目は、「虚偽・誇大広告等の禁止」です。

薬機法第66条では、次のように定義しています。

第66条:虚偽・誇大広告等の禁止 

  1. 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
  2. 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
  3. 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

具体的には、医薬品をはじめとする薬機法に係る製品を広告する際には、次の項目において、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布することを禁止しています。

名称・製造方法・効能/効果・性能

重ねて、医師やその他の者が効果・効能・性能について、保証したと誤解される可能性のある、記事の広告・記述・流布することも、同等の扱いです。

また、堕胎を暗示するものわいせつな文書・図画を用いることも禁止されているため、医薬品等の広告政策は慎重に努めましょう。

薬機法の広告規制において、違反行為と見なされる1つ目の項目は、「医薬品等の虚偽・誇大広告等」となります。

2. 特定疾病用の医薬品等に関する広告制限

薬機法の広告規制において、禁止されている2つ目の項目は、「特定疾病用の医薬品等に関数する広告規制」です。

薬機法第67条では、次のように定義しています。

第67条:特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限

  1. 政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品又は再生医療等製品であつて、医師又は歯科医師の指導の下に使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、厚生労働省令で、医薬品又は再生医療等製品を指定し、その医薬品又は再生医療等製品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品又は再生医療等製品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。
  2. 厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。

がん・肉腫・白血病などに使用されることが目的とされる医薬品または再生医療等製品のうち、医薬関係者以外の一般人を対象とした広告の禁止をしています。

これは、医師や歯科医師の指導を受けずに、特殊疾病用の医薬品または再生医療等製品を使用することで、身体への危害が生じる可能性が高いためです。

ただし、医師をはじめとする医薬関係者を対象にした広告であれば可能となります。

3.未承認医薬品等に関する広告禁止

薬機法の広告規制において、禁止されている3つ目の項目は、「特定疾病用の医薬品等に関数する広告規制」です。

薬機法第68条では、次のように定義しています。

第68条:承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止

  1. 何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

医薬品をはじめ、医療機器や再生医療等製品に対し、承認または認証を受けていないものについて、名称・製造方法・効果/効能・性能に関する広告を禁止しています。

医薬品等に該当しないものであっても「医薬品等と誤認させるような効能・効果の表示・広告」を行った場合(「薬でないもの」を「薬」のように宣伝すること)、「未承認の医薬品等」と判断されるため、注意しましょう。

重ねて、上記法令で医薬品広告に係る部分を引用しましたので、次の引用をご覧ください。

14条第1項:医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認

医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

19条第2項:外国製造医薬品等の製造販売の承認

厚生労働大臣は、第十四条第一項に規定する医薬品、医薬部外品又は化粧品であつて本邦に輸出されるものにつき、外国においてその製造等をする者から申請があつたときは、品目ごとに、その者が第三項の規定により選任した医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売業者に製造販売をさせることについての承認を与えることができる。

第23条の2の8:特例承認

第二十三条の二の五の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医療機器又は体外診断用医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第二項、第六項、第七項、第九項及び第十一項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。

一 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医療機器又は体外診断用医薬品であり、かつ、当該医療機器又は体外診断用医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。

第23条の2の17第1項:外国製造医療機器等の製造販売の承認

厚生労働大臣は、第二十三条の二の五第一項に規定する医療機器又は体外診断用医薬品であつて本邦に輸出されるものにつき、外国においてその製造等をする者から申請があつたときは、品目ごとに、その者が第三項の規定により選任した医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売業者に製造販売をさせることについての承認を与えることができる。

第23条の2の23:指定高度管理医療機器等の製造販売の認証

厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器、管理医療機器又は体外診断用医薬品(以下「指定高度管理医療機器等」という。)の製造販売をしようとする者又は外国において本邦に輸出される指定高度管理医療機器等の製造等をする者(以下「外国指定高度管理医療機器製造等事業者」という。)であつて第二十三条の三第一項の規定により選任した製造販売業者に指定高度管理医療機器等の製造販売をさせようとするものは、厚生労働省令で定めるところにより、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録認証機関」という。)の認証を受けなければならない。

薬機法に違反した場合の罰則

こちらの章では、薬機法に違反した場合の罰則についてご紹介させていただきます。

冒頭でも記載しましたが、薬機法に違反した場合、次の処遇を受ける可能性があります。

  1. 行政処分
  2. 課徴金納付命令
  3. 刑事罰

重ねて、薬機法違反と見なされた場合、消費者からの信頼を損ね、大きな経済的損失にも繋がるリスクがあるのです。

薬機法を遵守するためにも、法律の専門家である弁護士にリーガルチェックや訴求表現など、法的観点からのアドバイスを仰ぐというのも一つの選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか?

それでは、各処遇について、詳細を解説させていただきます。

行政処分

薬機法に違反をした場合、1つ目の罰則は、「行政処分」です。

行政処分までの流れは段階が踏まれており、まずは「行政指導」が入ります。

その際、薬機法違反に該当する内容を改めるよう命じ、報告書の提出を求められることになるのです。

その後、弁明の機会が与えられ、状況に応じ、課徴金納付命令をはじめとする、さまざまな措置が施されます。

行政処分の流れや具体的な内容については、次の表をご覧ください。

行政処分の流れ具体的な内容
行政処分【第70条第1項製品の廃棄回収命令】
医薬品等を業務上取り扱う者が品質不良不正表示の製品など、薬機法に違反した医薬品等を販売した場合、公衆衛生上の危険を防止するため、違反行為に関連する医薬品等の廃棄・回収命令を受ける可能性がある。(要約)
業務改善命令【第72条第1項業務改善停止命令】
医薬品等の製造販売業者が医薬品等における、品質管理安全管理の方法が基準に適合しない場合、業務改善命令または改善までの間、業務の一時停止を命じられる可能性がある。(要約)
措置命令【第72条の5第1項措置命令】
次の項目に違反した場合、措置命令を受ける可能性がある。
虚偽・誇大広告等の禁止:第66条承認前医薬品等の広告の禁止:第68条
具体的には、違反広告を中止させるほか、再発防止のため、違反広告の公表などが命じられる。(要約)
業務停止命令2.と同内容
許可・登録の取消【第75条第1項第75条の2第1項許可・登録の取消】
医薬品等の製造販売業者や販売業者が許可・登録の基準を満たしていない場合に加え、薬機法に違反した場合、製造・販売許可・登録取り消される可能性がある。(要約)
課徴金納付命令次の節をご覧ください。

課徴金納付命令

薬機法に違反をした場合、2つ目の罰則は、「課徴金納付命令」です。

薬機法に違反した場合、「課徴金納付命令」を受ける可能性があります。

薬機法改正にあたって、近年増加傾向のあるインターネット広告においての虚偽・誇大広告の違反行為の影響により、この制度が導入されました。

こちらの制度の対象となるのは、第66条の「虚偽・誇大広告等の禁止」に違反した場合です。 

課徴金の額と支払い期間は、次の通りです。

  • 虚偽・誇大広告を行っていた期間中に得られた売上金額の4.5%
  • 課徴金の対象期間は、違反行為の開始日から数えて、最長3年間

ただし、次のようなケースでは、課徴金の減額や免除になる可能性があります。

課徴金の減額や免除になるケース課徴金の減額や免除の割合
A:対象となる売上金額が5,000万円未満の場合課徴金の免除(課徴金納付命令の対象外)
B:違反行為の発覚前に違反者が自主的に申告した場合課徴金額の50%減額

刑事罰

薬機法に違反をした場合、3つ目の罰則は、「刑事罰」です。です。

薬機法違反は、「刑事罰」の対象となる可能性があります。

刑事罰をはじめ、行政処分や課徴金納付命令を防ぐためにも、企業・個人問わず、薬機法を正しく理解し、社内でマニュアルを作成し、徹底し合うことが大切です。

重ねて、より安全かつ広告製作者や製造会社の意図が正確に伝わる訴求表現を行うにあたって、専門的な知識のある弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

刑事罰に該当する違反行為と刑事罰の詳細は、次の表をご覧ください。

違反項目違反内容刑事罰の内容
第84条:無許可製造・販売次の対象者が医薬品等を無許可で製造・販売した場合
・医薬品の製造販売業(第12条第1項)・医薬品の販売業(第24条第1項)
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または両方
第85条:虚偽・誇大広告・虚偽・誇大広告等の禁止(同第66条)に違反した場合2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方
第86条:特定疾病用の医薬品等に関する広告 がん・肉腫・白血病など、特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告の禁止(第67条)1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方

重ねて、従業員が違反した場合、違反した個人(本人)だけでなく、両罰規定により、法人にも罰金刑が及ぶ可能性があることにご留意ください。

薬機法(旧薬事法)に違反しないためには専門家の力を借りること

ここまで、薬機法の前提知識をはじめ、薬機法における医薬品の概要分類薬機法に違反した場合の罰則医薬品広告を行う際の注意事項など、医薬品を取り巻く薬機法の広告規制について解説してきました。

繰り返しとなりますが、薬機法における「医薬品」の定義とは次の通りです。

「人や動物の病気の診断・治療・予防に使用されることを目的としたもの」「人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすもの」

医薬品をはじめとする薬機法の該当製品を扱う際には、日々情報をアップデートし、薬機法を遵守するよう心掛ける必要があります。

薬機法に違反した場合、行政処分・課徴金納付命令・刑事罰の対象になる可能性があるため、一人ひとりが薬機法について学び、ルールを遵守するよう努めることが重要です。

ただし、薬機法等のリーガルチェック書き換え表現を行うことは、専門性が高く、どれだけ確認をしても、不安が残ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。

弁護士をはじめとする法律の専門家に依頼することで、不正確な情報の発信トラブルを未然に防げるだけでなく、製品を使用する消費者の安全性を守ることにも繋がります。

XP法律事務所では、医薬品分野をはじめとする薬機法に関するリーガルチェック広告の訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。

医薬品を製造・販売している企業様販売を検討している方医薬品の広告宣伝に携わる方など、医薬品広告に関する助言や審査、薬機法についてご不明点がある場合には、XP法律事務所までお気軽にご相談ください。

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