薬機法(旧薬事法)

【2023年最新】薬機法(旧薬事法)における医薬部外品を徹底解説!分類や規制・注意事項など

薬機法における医薬部外品とは、医薬品に比べ、人体に対する作用が緩やかで機械器具でないものを指します。違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用されることから、対象となる製品の製造企業や販売企業は、薬機法を正しく理解し、遵守することが大切です。薬機法における医薬部外品を取り巻く規制について徹底解説いたします。

【2023年最新】薬機法(旧薬事法)における医薬部外品を徹底解説!分類や規制・注意事項など

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皆さんは、薬機法(旧薬事法)で規制される分野の一つである「医薬部外品」について、具体的な概要をご存知でしょうか?

医薬部外品とは、効果・効能が認められた成分は配合されていますが、医薬品に比べ、人体に対する作用の緩やかなもので、機械器具でないものを指します。

重ねて、薬機法とは、薬機法に係る分野の製品の製造や販売を規制し、これらの品質や有効性安全性の確保に加え、保険衛生上のリスクを防ぐための法律を指します。

薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用されることから、対象となる製品の製造企業や販売企業は、薬機法を正しく理解し、薬機法を遵守することが重要です。

「知らず知らずのうちに薬機法に違反していた」などのリスクを未然に防ぐためにも、弁護士をはじめとする専門家にアドバイスを仰ぐ、というのも一つの選択肢ではないでしょうか。

薬機法における「医薬部外品の前提知識」をはじめ「薬機法における医薬部外品の製造販売にあたる注意事項」、「薬機法違反と見なされる行為と違反した際の罰則」など、皆さまの疑問を解決するため、医薬部外品を取り巻く規制について徹底解説させていただきます。

XP法律事務所では、薬機法の医薬部外品に関するリーガルチェック広告の訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。

医薬部外品の広告に関する助言や審査、薬機法についてご不明点がある場合には、XP法律事務所までお気軽にご相談ください。

そもそも薬機法とは

医薬部外品を取り巻く広告規制について解説するにあたって、薬機法の概要や定義からご紹介させていただきます。

まず、「薬機法(やっきほう)」とは、正式名称医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律のことで、現在の法令名を略した名称のことです。

以前は「薬事法(やくじほう)と呼ばれていましたが、2014年11月25日に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」により、現在の名称に変更されました。

薬機法の目的は、次のように定義されており、薬機法の対象となる製品の製造や販売をはじめ、流通や表示、広告に関する規律を行っています。

製品の安全性と品質、有効性を確保し、保健衛生の向上を図ること

第1条:目的

この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

薬機法の規制対象は、次の5分野となり、これらの製品を総称し「医薬品等」と呼びます。

医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品

薬機法に違反した場合、後ほど詳しく解説させていただきますが、【行政処分・課徴金納付命令・刑事罰】などの処遇を受ける可能性があるため、ご注意ください。

従って、薬機法について正しい知識を学び、一人ひとりが法律を遵守するよう努めることが重要です。

薬機法における「医薬部外品」とは

薬機法における「医薬部外品」とは、(医薬品に比べ)人体への作用が緩和なものを指します。

具体的には、吐き気やその他の不快感をはじめ、口臭体臭を防止するもの、あせもただれ等を防止するもの、脱毛の防止・育毛または除毛などの美容を目的としたものです。

また、ねずみ・はえ・蚊・のみなどの生物の防除を使用目的とした、機械器具等でないものも含まれます。

併せて、「薬用化粧品」も医薬部外品の対象です。

下記の引用に記載された、「厚生労働大臣が指定するもの」とは、「指定医薬部外品」を指し、医薬品販売の規制緩和に伴い、医薬品から医薬部外品へと移行された品目のことです。

この規制が緩和されたことにより、薬局などの限られた場所だけでなく、一般小売店(スーパーマーケットなど)でも販売できるよう変更されました。

第2条第2項:定義

この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。

一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの

イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止

ロ あせも、ただれ等の防止

ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛

二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの

三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

薬機法における医薬部外品の分類について

医薬部外品は、次の3つの項目に分類されます。

  • 指定医薬部外品
  • 防除用医薬部外品
  • 医薬部外品

詳細は次の表をご覧ください。

(表1)

分類内容
指定医薬部外品・厚生労働大臣が指定する有効成分の名称及び分量の表示が必要なもの。
・薬事法改正による規制緩和に伴い、医薬部外品に変更されたもので、一般小売店で購入可能。
(例「一部ビタミン剤」「整腸剤」「のど清涼剤」など)
防除用医薬部外品
・人または動物の保護のために、上記の薬機法で定義されている害獣・虫の防除を目的として使用される製品。
・一般小売店で購入可能。
(例「殺虫剤」「殺鼠剤」「虫除け剤」など)
医薬部外品
・2009年度の薬事法改正以前から、医薬部外品として販売されていたもので、一般小売店で購入可能。
(例「薬用化粧品」「浴用剤」「制汗剤」「制汗剤」「除毛剤」「育毛剤」など)

医薬部外品における「指定医薬部外品」とは

厚生労働大臣が指定する医薬部外品について詳しくご紹介します。

「薬事法第二条第二項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品(平成21年2月6日厚生労働省告示第25号)」では、次の27種類の医薬部外品を厚生労働大臣が指定する医薬部外品であると表記しました。

詳細については、次の表をご覧ください。

厚生労働大臣が指定する医薬部外品指定時期
胃の不快感を改善することが目的とされている物Ⅱ新指定医薬部外品(平成11年〜)
いびき防止薬 Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
衛生上の用に供されることが目的とされている綿類
(紙綿類を含む)
Ⅰ従来の指定医薬部外品(〜平成11年)
カルシウムを主たる有効成分とする保健薬
※第19号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
含嗽薬 Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
健胃薬
※第1号及び第21号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
口腔咽喉薬(こうくういんこうやく )
※第20号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
コンタクトレンズ装着薬Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
殺菌消毒薬
※第15号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
しもやけ・あかぎれ用薬
※第24号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
瀉下薬(しやげやく) Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
消化薬
※第27号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
滋養強壮・虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物 Ⅱ指定医薬部外品(平成11年〜)
生薬を主たる有効成分とする保健薬Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
すり傷・切り傷・さし傷・かき傷・靴ずれ・創傷面等の消毒または保護に使用されることが目的とされている物Ⅱ新指定医薬部外品(平成11年〜)
整腸薬※第27号に掲げるものを除くⅢ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
染毛剤Ⅰ従来の指定医薬部外品(〜平成11年)
ソフトコンタクトレンズ用消毒剤Ⅰ従来の指定医薬部外品(〜平成11年)
肉体疲労時、中高年期等のビタミンまたはカルシウムの補給が目的とされている物 Ⅱ新指定医薬部外品(平成11年〜)
のどの不快感を改善することが目的とされている物Ⅱ新指定医薬部外品(平成11年〜)
パーマネント・ウェーブ用Ⅰ従来の指定医薬部外品(〜平成11年)
鼻づまり改善薬
※外用剤に限る
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
ビタミンを含有する保健薬
※第13号及び第19号に掲げるものを除く
Ⅲ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)
ひび・あかぎれ・あせも・ただれ・うおのめ・たこ・手足のあれ・かさつき等を改善することが目的とされている物Ⅱ新指定医薬部外品(平成11年〜)
薬事法 第2条 第3項に規定する使用目的のほかに、にきび・肌荒れ・かぶれ・しもやけ等の防止または皮膚もしくは口腔の殺菌消毒に使用されることも併せて目的とされている物 Ⅰ従来の指定医薬部外品(〜平成11年)
浴用剤Ⅰ従来の指定医薬部外品(〜平成11年)
第6号、第12号または第16号に掲げる物のうち、いずれか2つ以上に該当するものⅢ 新範囲医薬部外品(平成16年〜)

「薬事法第二条第二項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品(平成21年2月6日厚生労働省告示第25号)」より

重ねて、27種類の医薬部外品は、指定された時期により3つの項目に分類可能です。

従来の指定医薬品に加え、「新指定医薬部外品(Ⅱ)」「新範囲医薬部外品(Ⅲ)と呼ばれます。

これらの新規で追加された医薬部外品を「指定医薬部外品」と定義されるようになりました。

医薬部外品に属する薬用化粧品とは

薬機法における「医薬品」分野の製品に比べ、効果が緩和されており、「化粧品」よりも効果を期待できる、医薬部外品の中に「薬用化粧品」という製品が存在します。

前提として、化粧品の定義は、下記の通りです。

人体に対する作用が緩和で、人の身体を清潔にする他、皮膚や毛髪を健やかに保つ役割を果たしたり、容貌を変えたり、外見を美しく見せることを目的としたもの

薬機法における「化粧品」の概要など、こちらの記事を併せてご参照ください。

薬用化粧品と一般的な化粧品を比較した場合、次の4点の相違が見られます。

  1. 効果・効能の違い
  2. 認められる広告表現
  3. 製造販売の承認の要否
  4. 成分表示の表記の仕方

詳細については、次の表をご覧ください。

(表2)

項目/名称薬用化粧品(医薬部外品)化粧品
効果・効能の違い【通常の化粧品の役割に加え、下記いずれかの使用目的を持つもの】
■ 吐き気その他の不快感、口臭・体臭の防止
■ あせも、ただれ等の防止
■ 脱毛の防止・育毛・除毛
【下記の項目すべてに該当するもの】
■ 人の身体について、下記の目的で使用されるもの・清潔にする・美化する・魅力を増す・容貌を変える・皮膚または毛髪を健やかに保つ
■ 身体に塗擦・散布・その他これらに類似する方法で使用されるもの
■ 人体に対する作用が緩和なもの
■ 人または動物の疾病の診断・治療・予防または身体の構造・機能に影響を及ぼすもの以外
■ 医薬部外品を除いたもの
認められる広告表現■ 製造・販売の承認によって認められた効能・効果に関する広告を行うことが可能■ 医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲内での広告が可能
日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
製造販売の承認の要否■ 製造・販売する場合、品目ごと厚生労働大臣の承認を受ける必要がある《薬機法第14条第1項》■ 品目ごとに製造販売の承認は不要だが届出は必要《薬機法14条の9》
※特定の成分(承認化粧品成分)を含有する場合を除く
成分表示の表記の仕方■ 医薬部外品を製造販売する場合、次の成分を直接の容器または被包に記載する必要がある
1. 有効成分の名称およびその分〈厚生労働省告示第28号〉
2. 含有される厚生労働大臣の指定する成分の名称〈厚生労働省告示第332号〉
■ 製造販売承認を受けた化粧品を除き、含有する全成分の表示義務《薬機法第14条第1項》〈厚生労働省告示第332号〉
日本化粧品工業連合会「化粧品の成分表示名称リスト」
厚生労働省医薬局「化粧品の全成分表示の表示方法等について」

医薬部外品の製造・販売にあたっての注意事項

医薬部外品を製造・販売(流通)させるにあたって、「製造業」や「製造販売業」の許可等を取得する必要がある他、販売する「製品」についても、品目ごとに届出・承認等の手続きを行う必要があります。

万が一、これら規定に従わずに供給された医薬部外品により、健康被害など保健衛生上の危害の発生に加え、適切な措置が行えないことで、更なる被害拡大の可能性も考慮しなければなりません。

こういった事態に陥った場合、薬機法違反として、厳しい罰則が科されることになるのです。  

正しく薬機法を理解し、法令を遵守することで、消費者が安心して使用できる医薬部外品を届けることが重要です。

医薬部外品の製造・販売に必要な許可「製造業」と「製造販売業」について

前章の冒頭において、医薬部外品を製造・販売する際には、「製造業」「製造販売業」の許可を受ける必要があるとご紹介しました。

それぞれ許可を取得する際には、規定が設けられています。

各業種の許可等の詳細については、次の表をご覧ください。

(表3)

規定項目製造業:許可製造販売業:許可
許可の内容*【医薬部外品製造業許可】
製造所の所在地を管轄する都道府県知事の許可都道府県知事の許可がなければ、医薬部外品の製造ができない

製造工程のうち、最終製品を除き、原料や製品の保管のみを行う製造所は「登録」を受ければ「許可」は不要
「医薬部外品製造販売業許可」:厚生労働大臣
総括製造販売責任者がその業務を行う製造所(事務所)の所在地を管轄する都道府県知事の許可(登録)がなければ、医薬部外品の製造ができない

※自ら製造する場合、製造する場所ごとに製造業の許可が必要→自ら製造しない場合、製造業者に製造の委託可能
登録の区分■ 厚生労働省令で定める区分に従い、厚生労働大臣が製造所ごと「製造業」登録必須■ 医薬部外品の設計・製造・販売・使用・品質までの全ての責任を持つ
期限■ 3年を下らない政令で定める期間ごとに更新を受ける必要がある■ 3年を下らない政令で定める期間ごとに更新を受ける必要がある
GMP省令■ 「厚生労働大臣が指定する医薬部外品(表1)」 は、GMP(Good Manufacturing Practice)省令=「適正製造規範」に基づき、製造管理及び品質管理を行う必要がある

■ 適用外の医薬部外品は、製造所の責任技術者が製造及び試験に関する記録・その他当該製造所の管理に関する記録を作成し、3年間保管する必要がある

※有効期限や使用期限の記載が義務付けられている場合、そ の有効期間又は使用の期限に1年を加算した期間の保管が求められる

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

「医薬部外品製造業許可」の区分

「医薬部外品製造業許可」には、次の3つの区分が存在し、上記(表3)の通り、製造所(工場)ごとに必要な区分の許可を受ける必要があります。

各区分の詳細については、次の表をご覧ください。

(表4)

区分具体的な内容
無菌区分:1号区分無菌医薬部外品(無菌化された医薬部外品)の製造工程の全部または一部を行うもの※3号区分に掲げるものを除く
一般区分:2号区分無菌医薬部外品以外の医薬部外品の製造工程の全部または一部を行うもの※3号区分に掲げるものを除く
包装等区分:3号区分1号区分・2号区分の医薬部外品の製造工程のうち、包装・表示・保管のみを行うもの

「医薬部外品製造販売業許可」における各行為の詳細

「医薬部外品製造販売業許可」で許可されている各行為についてご紹介します。

各行為の詳細については、次の表をご覧ください。

(表5)

区分具体的な内容
包装製品を化粧箱に入れる等包装行為のこと
表示法定表示を製品に貼付する等の行為のこと
※輸入品の場合、外国語表示シ ールを日本語表示に張り替える行為も含まれる
保管製造販売業者の市場への出荷の可否の決定が出る前の製品の保管を行い、
出荷判定で適合であれば、製造販売業者からの指示を受け、市場に出荷する等の行為のこと

製造販売業者が品目ごとに取得必須な「製造販売承認」について

「製造販売承認」とは、製造販売業者が品目ごとに、厚生労働大臣(一部の承認権限は都道府県知事)の承認が義務付けられた、いわゆるライセンスのようなものです。

表示・広告について、承認の範囲を超えた表現をすることはできないことをご留意ください。

医薬部外品を輸入する際に必要な「外国製造業者認定 」について

「海外製造業社認定」とは、海外の製造業者が日本において、製造業の許可のレベルの要件を満たしていれば、外国製造業者として認定を受ける制度のことです。

「製造業」や「製造販売業」などの許可が必要な各ケース

(表6)

事業内容必要な許可の種類(登録)注意事項
製造販売
1. 製造販売する場合
《医薬部外品を卸売販売業者に販売》
医薬部外品製造販売業許可製造行為不可
※ラベル変更なども製造業(包装・表示・保管)と見なされる
製造
2. 医薬部外品を製造する場合医薬部外品製造業許可【第1または第2区分】(表4)を参考:第1,2区分
3. 医薬部外品の一部製造工程を受託して行う場合医薬部外品製造業許可【第1または第2区分】(表4)を参考:第1,2区分
4. 包装、表示または保管を行う場合医薬部外品製造業許可【第3区分】(表4)を参考:第3区分
※包装・表示・保管の一部のみを行う場合も含む
5. 保管のみを行う場合医薬部外品製造業登録保管以外は行わない場合(保管のために必要な検査等を含む)
ただし、最終製品の保管は「製造業許可」が必要
製造・製造販売
6. 元売り・製造ともに行う場合医薬部外品製造販売業許可医薬部外品製造業許可(表4)を参考
事業の内容に適したものを申請する
輸入販売
7. 製品を輸入し、元売する場合医薬部外品製造販売業許可※製品の「包装・表示・保管」を他社が行う場合、「製造販売業許可」のみで行うことが可能
※ラベル変更なども製造業(包装・表示・保管)と見なされる
8. 製品を海外から輸入し、包装、表示または保管を行い元売する医薬部外品製造販売業許可医薬部外品製造業許可※輸入販売と保管を行う場所が同一所在地に限る
9. 他社が輸入した製品の包装、表示または保管のみを行う医薬部外品製造業許可※輸入・元売りを他社が行う場合に限る

医薬部外品の製造・販売までの流れ

こちらの章では、医薬部外品の製造・販売までの流れについて、簡単にご紹介します。

1. 許可の取得

医薬部外品を製造販売する場合、まずは許可を取得することが重要です。

先にご紹介した下記の許可について、事業に合わせて取得しましょう。

  • 医薬部外品製造販売業許: 製造または輸入した医薬部外品を市場に出荷する際に必要無許可
  • 医薬部外品製造業許可:医薬品を製造する際に必要な許可《無菌区分・一般区分・包装等区分》

2. 「医薬部外品製造販売承認」を取得する

製造販売業者は、品目ごとに承認の取得を取得します。

「製造販売承認」とは、厚生労働大臣(一部の承認権限は都道府県知事)の承認が義務付けられた、いわゆるライセンスのようなものです。

27種の大臣承認品目に関しては、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に申請し、それ以外の項目は、総括製造販売責任者が己の業務を行う事務所の所在地の都道府県に申請しましょう。

3. 製造・販売開始

市場への出荷後(流通・販売後)、製造管理・品質保証・安全管理を徹底することになります。

薬機法違反にあたる行為の例

冒頭、薬機法に違反した場合、懲役刑や罰金などの厳しい罰則が適用される可能性があるとご紹介しました。

薬機法における違反行為は、次の通りです。

  1. 無許可営業・無登録営業
  2. 医薬品等の取り扱いに関する違反
  3. 広告規制違反

それでは、各項目ごとに、解説させていただきます。

1. 無許可営業・無登録営業

医薬品等の製造や販売などの事業を行う場合、許可・登録義務付けられています。

特に、今回のトピックである医療機器の製造・販売等にも深く関わる規制でもあります。

先にご紹介した通り、許可または登録を受けずに、無断で次の各事業を行うことは、薬機法違反となるため、ご注意ください。

各項目の詳細は次の表をご覧ください。

区分対象分野具体的な内容
許可制薬局薬局の開設【薬機法第4条第1項】

医薬品・医薬部外品・化粧品
医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売業【第12条第1項】
医薬品・医薬部外品・化粧品の製造業【第13条第1項】
★医療機器・体外診断用医薬品医療機器・体外診断用医薬品の製造販売業【第23条の2第1項】
医薬品医薬品の販売業【第24条第1項】

再生医療等製品
再生医療等製品の製造販売業【第23条の20第1項】
再生医療等製品の製造業【第23条の22第1項】
再生医療等製品の販売業【第40条の5第1項】
★高度管理医療機器等高度管理医療機器等の販売業及び貸与業【第39条第1項】
★医療機器医療機器の修理業【第40条の2第1項】
登録制★医療機器・体外診断用医薬品医療機器・体外診断用医薬品の製造業【薬機法第23条の2の3第1項)

2.医薬品等の取り扱いに関する違反

医薬品の販売や表示に関する取り扱いについて、次の規制が設けられています。

  1. 処方箋医薬品の販売
  2. 直接の容器・被包への記載事項
  3. 記載禁止事項
  4. 違反医薬品の販売禁止

各項目の詳細は次の表をご覧ください。

項目具体的な内容
処方箋の販売について■ 医師・歯科医師・獣医師から処方箋の交付を受けていない者に対する販売の禁止【第49条第1項】
医薬品の表示・記載について■ 直接の容器等の記載事項【第50条・第51条】■ 容器等への符号(バーコード)等の記載【第52条1項】■ 添付文書等の記載事項【第52条2項】■ 記載事項の記載方法【第53条】
記載禁止事項について■ 記載禁止事項【第54条】・虚偽または誤解を招くおそれのある事項・承認を受けていない効能・効果・性能・保健衛生上危険がある《用法・用量・使用期間》
違法医薬品の販売禁止について■ 薬機法に違反する医薬品の販売・授与等の禁止【第55条】■薬機法に違反する医薬品の販売・製造等の禁止【第56条】

3. 広告規制違反

薬機法は医薬品等の製造・販売だけでなく、広告についても、次の規制が定められています。

薬機法違反として見なされる行為は、次の3つの項目です。

  • 虚偽・誇大広告等の禁止(第66条)
  • 特定疾病用医薬品等の広告の制限(第67条)
  • 承認前医薬品等の広告の禁止(第68条)

各項目の詳細は次の表をご覧ください。

項目具体的な内容
虚偽・誇大広告等の禁止【第66条】■ 薬品等の《名称・製造方法・効能・効果・性能》に関して、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布を禁止
【禁止】医薬品等の効果・効能・性能に対して、医師などが保証したと誤解されるおそれのある広告
【禁止】堕胎を暗示するものわいせつな文書・図画を用いること
特定疾病用医薬品等の広告の制限【第67条】■ がん・肉腫・白血病などに使用されることが目的とされている医薬品・再生医療等製品のうち、医薬関係者以外の一般人を対象とした広告は禁止
◎ 医師をはじめとする医薬関係者を対象にした広告に限り、広告可能
承認前医薬品等の広告の禁止【第68条】■ 医薬品等に該当しない製品を「医薬品等と誤認させるような効能効果の表示・広告」を行う広告は禁止
【禁止】薬でないものを「薬」のように宣伝すること

薬機法に違反した場合の罰則

冒頭にご紹介した通り、薬機法に違反した場合、次の処遇を受ける可能性があります。

  1. 行政処分
  2. 課徴金納付命令
  3. 刑事罰

各項目の詳細を簡単にまとめると次の図の通りです。

項目具体的な内容
行政指導行政処分には次のような段階を設けています。
《行政処分までの流れ》1. 行政処分2. 業務改善命令3. 措置命令4. 業務停止命令5. 許可・登録の取消6. ★課徴金納付命令
課徴金納付命令■ 第66条の「虚偽・誇大広告等の禁止」に違反した場合
支払い金額:虚偽・誇大広告を行っていた期間中に得られた売上金額の4.5%
支払い期間:違反行為の開始日から数えて、最長で3年間
刑事罰■ 第84条:無許可製造・販売:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または両方
■ 第85条:虚偽・誇大広告:2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方
■ 第86条:特定疾病用の医薬品等に関する広告:1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方

各違反行為の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

薬機法(旧薬事法)に違反しないためには専門家の力を借りること

ここまで、薬機法における「医薬部外品の前提知識」をはじめ「薬機法における医薬部外品の製造販売にあたる注意事項」、「薬機法違反と見なされる行為と違反した際の罰則」など、皆さまの疑問を解決するため、医療機器を取り巻く規制について徹底解説させていただきます。

繰り返しとなりますが、薬機法における医薬部外品の定義とは次の通りです。

<div style=”background: #F7F7F7; border: 1px solid #A1A1A1; border-radius: 5px; box-shadow: 3px 3px 5px 1px #A1A1A1; padding: 10px;”>「医薬部外品」とは、医薬品に比べ)人体への作用が緩和なものを指します。具体的には、吐き気やその他の不快感をはじめ、口臭体臭を防止するもの、あせもただれ等を防止するもの、脱毛の防止・育毛または除毛などの美容を目的としたものです。また、ねずみ・はえ・蚊・のみなどの生物の防除を使用目的とした、機械器具等でないもの、「薬用化粧品」も医薬部外品の対象となります。</div>

薬機法の該当製品を扱う際には、日々情報をアップデートし、薬機法を遵守するよう心掛ける必要があります。

薬機法に違反した場合、行政処分・課徴金納付命令・刑事罰の対象になる可能性があるため、一人ひとりが薬機法について学び、ルールを遵守するよう努めることが重要です。

ただし、薬機法等のリーガルチェックや専門性の高い訴求表現を行うことは、多くの規約が設けられていることから、どれだけ確認をしても、不安が残ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。

弁護士をはじめとする法律の専門家に依頼することで、不正確な情報の発信やトラブルを未然に防げるだけでなく、製品を使用する消費者の安全性を守ることにも繋がります。

XP法律事務所では薬機法に関するリーガルチェックや訴求表現のアドバイスをはじめ、”新しい時代の法律事務所を創造する”という使命を掲げ、ビジネス全般に渡り、クライアント単位でトータルソリューションを提供しています。

薬機法に係る製品の広告に関する助言や審査、薬機法についてご不明点がある場合には、XP法律事務所までお気軽にご相談くださ

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